こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
出産や授乳を経験された多くの女性が抱えるお悩みの一つに、「胸の老化」があります。かつてのようなハリや弾力が失われ、下垂してしまったバストを見て、「若い頃のあの頃に戻りたい」と願う方は少なくありません。幸いなことに、現代の美容医療には、こうしたお悩みに応えるための多様な治療法が存在します。今回は、出産や授乳後のバストのアンチエイジングに焦点を当て、具体的な治療の選択肢とその特徴を、当院統括医師である吉井医師が詳しく解説します。
1. 自然な柔らかさが魅力:「脂肪豊胸(脂肪注入)」
「脂肪豊胸」は、ご自身の体から採取した脂肪を胸に注入する、日本で最も普及しているとされる豊胸術です。太ももやお腹、二の腕などから吸引した脂肪を、乳腺内または乳腺下の脂肪組織に注入することで、バストのボリュームアップと形を整えます。
特徴とメリット:
• 柔らかく、非常に自然な仕上がりが期待できます。ご自身の脂肪を使用するため、触り心地も本物の胸と変わりありません。
• 特に、出産を経験し胸が下垂して柔らかくなっている方には、非常に相性が良いとされています。柔らかい組織には注入した脂肪が周りの組織に「くっつきやすい」ため、生着率が高まる傾向があります。
• 通常の脂肪豊胸では片側200~300cc程度の注入が目安とされますが、もともとの組織が柔らかい方の場合、一度に350ccから400cc近くまで注入できることもあり、比較的しっかりとボリュームアップを図ることが可能です。
• 適切に注入されれば、しこりができにくく、脂肪が定着しやすいという利点もあります。日本国内の大学病院などでの研究により、その技術やノウハウが進歩してきた背景があります。
注意点:
• 一度に注入できる量には限りがあり、ナチュラルなサイズアップを目指すのに適しています。
• 注入した脂肪がすべて定着するわけではなく、個人差はありますが、約100~150cc程度は吸収されてしまうことがあります。
• 不適切な注入方法(1箇所に大量に注入する、極端に多量の脂肪を詰め込むなど)は、しこりができる原因となるため、高い技術力を持つクリニック選びが重要です。特に、見た目のボリュームだけを重視しすぎて不自然な硬さにつながるケースもあるため、注意が必要です。
2. ボリュームをしっかり出したいなら:「シリコンインプラント豊胸」
「シリコンインプラント豊胸」は、シリコン製のインプラント(例:モチバの2番のような、非常に柔らかく形状が変化するもの)を挿入することで、バストのボリュームを出す方法です。
特徴とメリット:
• 一気に大きくしたい、しっかりボリュームを出したいという場合に最適な選択肢です。
注意点:
• 40代、50代以上で出産・授乳を経験し、胸が大きく下垂して柔らかくなっている場合、インプラント単独では不自然な仕上がりになることがあります。例えば、インプラントと元の胸の間に段差ができたり、「鏡餅」のような形に見えたりする可能性が指摘されています。
• 下垂の程度が強い方の場合、インプラントでのボリュームアップには限界があり、ある程度の不自然さは念頭に置く必要があります。無理に大きなインプラントを挿入して不自然なハリを出す形になることもあります。
3. 自然さとボリュームのいいとこどり:「ハイブリッド豊胸」
「ハイブリッド豊胸」は、インプラントと脂肪注入を組み合わせることで、それぞれのデメリットを補い合う治療法です。
特徴とメリット:
• インプラントでベースとなるボリューム(例:300cc程度)を出しつつ、その周りの段差や不自然さを、ご自身の脂肪を注入することで自然に整えます。
• インプラント単独では不自然になりがちなケースでも、より自然で美しいバストラインを実現できます。
• 脂肪注入のみの場合よりも少ない脂肪量で済むため、比較的痩せ型で脂肪が少ない方でも対応しやすいという利点があります。
4. 重度の下垂にアプローチ:「乳房吊り上げ・乳房縮小術」
特に下垂の程度が非常に強い方(60代、70代など)に対しては、「乳房吊り上げ・乳房縮小術」が選択肢となります。これは、物理的に胸の組織の一部を切除して小さくし、同時にバストを吊り上げる外科手術です。
特徴とメリット:
• 胸がしっかりと小さくなり、重度の下垂が大幅に改善されます。
• 胸の下側の部分が汗で蒸れて痒くなるなどのお悩みがある場合に、その部分の面積が少なくなるため、大幅な不快感の改善が期待できます。
注意点:
• 乳頭から胸の下端まで縦に傷が残る、比較的派手な手術となります。
• 30代などの比較的軽度な下垂の方には、通常は適用されません。
5. バスト全体の若返りの鍵:「乳頭・乳輪の治療」
出産や授乳を経験すると、バストの形だけでなく、乳頭や乳輪にも変化が現れることがあります。具体的には、乳頭が伸びてしまったり、乳輪が大きくなったり、色が黒ずんでしまったりといったお悩みです。これらに対する治療も、バスト全体のアンチエイジングには欠かせません。
5-1. 乳頭縮小術・乳輪縮小術
• 乳頭縮小術: 伸びてしまった乳頭の一部をケーキカットのように切除して小さくする、あるいは円柱状に伸びた乳頭の中間部分を取り除いて小さくするといった方法があります。これにより、下着に引っかかるなどの不快感が改善されることがあります。
• 乳輪縮小術: 大きくなった乳輪のサイズを小さくする手術です。
5-2. ローマピンク(色素を明るくする治療)
• 比較的新しい治療法である「ローマピンク」は、乳輪や乳頭の黒ずんだ色素を明るくする(色を抜く)ことを目的としています。
• 手術ではなく、ピーリングのように薬剤を塗布して行う非侵襲的な治療であり、出産を繰り返して乳輪・乳頭が黒ずんでしまった方に特におすすめです。
• 乳輪や乳頭の色が明るくなることで、より若々しい印象を与えることができます。
総合的なアンチエイジングの実現
これらの多様な治療法は、単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。例えば、脂肪豊胸でボリュームと自然な柔らかさを出しつつ、乳頭・乳輪の形や色も整えることで、10年~15年前のご自身の胸に戻るような、より満足度の高いアンチエイジング効果を目指すことが可能です。
ご自身のバストの状態や、どのようなバストを目指したいかによって、最適な治療法は異なります。まずは信頼できる専門医に相談し、ご自身に合ったオーダーメイドの治療計画を立てることが、理想のバストを取り戻すための第一歩となるでしょう。