傷あとボトックスとは
「ボトックス(ボツリヌストキシン)」といえばシワ治療のイメージがありますが、実は手術やけがの傷あとをきれいに治すサポートにも使われます。
ボトックスを傷あと周囲の皮膚や筋肉に注射することで、過度な引っ張りや緊張を抑えたり、傷跡組織の過剰な産生を抑えたりすることで、瘢痕が目立ちにくくなると考えられています。
仕組み
① 傷あとへの張力を軽減
創部に引っ張る力がかかればかかるほど傷は汚く治ります。ボトックスで筋肉の動きを抑えることで、創部の安静が保てます。
(表情筋の影響が強い部位で有効性が高いです)
② 過剰なコラーゲン産生の抑制
線維芽細胞における過剰なコラーゲン産生を抑えることで、赤みや盛り上がりの軽減が報告されています。
③ 炎症性を抑える
ケロイドは皮膚(真皮網状層)の慢性炎症で生じるとされています。ボトックスには炎症性サイトカイン放出の抑制効果があり、それが過剰な瘢痕形成を抑えてくれるという報告があります。
期待できる効果
- 傷あとが盛り上がりにくくなる
- 線が細く、目立ちにくい仕上がりに
- 傷あと周囲のつっぱり感を軽減
- 手術後の初期治癒をサポート
適しているケース
- 美容外科や形成外科の切開手術のあと
- 顔・首・胸など、動きや張力が加わりやすい部位の傷あと
- ケロイド体質まではいかないが、できるだけ目立たなく治したい方
治療の流れ
- 手術直後〜抜糸後など、早期に注射するのが効果的
- 少量のボトックスを傷あと周囲の皮膚・筋肉に注射
- 所要時間は数分程度で終了
- 効果は数か月持続し、その間に傷あとが落ち着いてくる
⚠️副作用・注意点
・一過性の筋力低下
(特に顔面:笑いにくい、眉が動かしづらいなど)
・内出血・軽度の腫脹
・効果は一時的(約3〜4か月)
→その間に瘢痕成熟が進むため、再投与不要なケースが多い
・妊娠・授乳中は避けるのが一般的
・保険適応外であり自費診療となる
よくある質問(Q&A)
傷あとが完全に消えるのですか?
A. 傷あとを完全になくすことはできませんが、より自然で目立ちにくい仕上がりを目指すことができます。
どのくらいのタイミングで注射するのがよいですか?
A. 傷が落ち着き始める抜糸後すぐ〜1か月以内が推奨です。ただし古い傷あとでも効果が期待できる場合があります。
何回くらい必要ですか?
A. 基本は1回で十分ですが、体質や部位によっては数か月ごとに追加することもあります。
他の治療と併用できますか?
A. はい。レーザーやシリコンジェルシート、再生医療などと併用すると、さらに仕上がりがよくなります。
まとめ
「傷あとボトックス」は、縫合部のストレスを減らし、きれいな治りをサポートする治療です。
従来のステロイド注射やレーザーと異なり、傷あとができる“前”から予防的に使える点が大きな特徴です。
当院では、患者さまの部位・体質・目的に合わせて、最適なタイミングと量をデザインして注入しています。
「手術後の傷あとをできるだけきれいにしたい」という方は、ぜひご相談ください。
山田医師のご紹介ページはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/staff.html