こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
目の下のクマ治療として「裏ハムラ」と「脂肪注入」を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、この二つの施術を同時に行うことについて、「99%ぼったくり」という意見があることも事実です。では、本当に同時施術は避けるべきなのでしょうか?それとも、特定の患者様にとっては効果的な選択肢となり得るのでしょうか?今回は、この裏ハムラと脂肪注入の同時施術について、どのような方が適しているのか、その特徴と、なぜ慎重な判断が必要とされるのかについて、当院統括医師の吉井医師が詳しく解説していきます。
裏ハムラと脂肪注入の同時施術が推奨される限られたケースとは?
一般的に、裏ハムラと脂肪注入の同時施術は、大手クリニックやそこから独立したドクターに多く見られる傾向があり、手術費用が最も高額になる手術の一つとして挙げられています。そのため、「ぼったくり」と指摘されることも少なくありません。しかし、ごく少数ながら、裏ハムラだけでは物足りず、脂肪注入を組み合わせた方が良いとされる患者様も確かにいらっしゃいます。
具体的に、どのような方が裏ハムラに脂肪注入を組み合わせるべきと判断されやすいのでしょうか。その特徴は以下の通りです。
年齢:ざっくりと「アラフォー」以上の方
◦ 個人差はありますが、おおよそ40歳以上の方が一つの目安となります。
症状:目元の小ジワが気になる方
◦ 裏ハムラ単体では、目の下のたるみを改善することで、かえって目元の小ジワが目立ってしまう可能性があります。
◦ このような場合に、脂肪を少量注入することで、小ジワ対策として非常に有効だと考えられます。
小ジワに対する脂肪注入の効果は、ヒアルロン酸などの他の注入剤(例えばリジュランやスネコスといった注入剤)と比較しても非常に優れています。皮膚と眼輪筋の間に薄く脂肪を注入することで、肌にハリを与え、小ジワを目立たなくする効果が期待できるのです。ただし、皮膚のすぐ下に脂肪を注入する場合、脂肪の定着率が若干落ちる場所であるため、コストパフォーマンスの観点からは注意が必要です。
当院では、こうしたケースではまず裏ハムラを行い、それでも改善が不十分だと感じられた場合に、改めて脂肪注入を検討するといった段階的なアプローチを推奨することが多いです。
なぜ「同時施術はぼったくり」と言われがちなのか?その背景と注意点
裏ハムラと脂肪注入の同時施術が「ぼったくり」と言われる背景には、いくつかの理由があります。
効果の曖昧さによる「ごまかし」
◦ 両方を同時に行うと、裏ハムラと脂肪注入のどちらの効果で改善されたのかが分かりにくくなります。
◦ 例えば、裏ハムラでクマが少し残ったとしても、脂肪注入で埋めてしまえば「いい感じに落ち着いた」ように見せることができてしまいます。
◦ 悪質なケースでは、裏ハムラではなく脱脂だけを行い、脂肪注入と組み合わせて「裏ハムラと脂肪注入を行った」と説明するような、ほぼ詐欺に近い行為も存在すると指摘されています。
◦ しかし、患者様からすれば、結果的に形が綺麗になれば満足してしまうこともあり、この曖昧さが「ごまかし」を許してしまう温床となり得ます。
大手クリニックでの採用と収益性
◦ 大手クリニックや、そこから独立したドクターが同時施術を全面に押し出す傾向が強いとされています。
◦ これは、裏ハムラと脂肪注入の同時施術が、クリニックにとって最も収益性の高い手術の一つであるという側面があるためです。
これらの理由から、当院の医師は、大手クリニックや大手出身のドクターを除けば、裏ハムラと脂肪注入を同時に行うドクターはかなり少数派になると述べています。
「青クマ」や「頬の膨らみ」への効果は?医師の視点からの疑問
裏ハムラと脂肪注入の同時施術を推奨するドクターの中には、小ジワ改善以外にも、「青クマの改善」や「頬の膨らみ」といったメリットを挙げる方もいらっしゃいます。しかし、これらについても当院では慎重な見解を示しています。
青クマの改善について
◦ 青クマは、目の下の薄い皮膚から眼輪筋という筋肉が透けて見えることで生じます。脂肪を注入することで、脂肪が遮蔽物となり、筋肉の色が見えにくくなる、という理屈です。脱脂と脂肪注入を組み合わせる場合は、この理由で脂肪注入が行われることがあります。
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◦ 裏ハムラを行うと、間接的に青クマが改善される可能性が高いです。裏ハムラは、出っ張った脂肪を下方に移動させ、へこんだ部分を盛り上げることで、目の下の凹凸の形を平坦化させます。これにより光の当たり方が変わり、影になっていた部分が明るくなることで、青クマがある範囲が狭く見えるようになるのです。
〈光の当たり方が変わり、影になっていた部分が明るくなることで、青クマがある範囲が狭く見えるようになる原理〉
↑脱脂は脂肪を取り除くため、凹むことになりますが
↑裏ハムラは下が凹んだ状態から
↑脂肪を移動させ、脂肪が多くあった部分はならすことで
↑下の凹みを少しだけ盛り上げ、脂肪をならすことで凹凸の形が変わるため、凹んでいて影になっていた部分が少し盛り上がることで、涙袋のすぐ下と盛り上がった部分の間は凹んで見えるようになります。その結果、青クマのある範囲が凹凸効果で狭く見えるようになります。
◦ したがって、青クマがあるからといって、裏ハムラと同時に脂肪注入を行う必要性については疑問が残ると、当院では考えています。
頬の膨らみについて
◦ 頬に脂肪を注入することで、頬が膨らみ、若々しい印象になる可能性があります。
◦ 裏ハムラは広範囲にわたる剥離(はくり)を伴う手術です。頬への脂肪注入と裏ハムラの剥離範囲が重なってしまうと、注入された脂肪が本来意図した場所から流れてしまい、不正確な注入となるリスクがあります。
◦ 裏ハムラの術式によっては、目の下のへこみだけでなく、頬をわずかに持ち上げるような効果を狙って、さらに広範囲に剥離を行うこともあります。このような場合、頬への脂肪注入はさらにその効果が不正確になる可能性があります。
◦ また、脂肪注入の利点は、広範囲に注入できることであるにもかかわらず、特定の狭い範囲に限定して注入しようとすることは、脂肪注入本来の良さを損ねる側面もあると考えています。
これらの理由から、裏ハムラと脂肪注入の同時施術は、場合によっては「お互いの良いところを潰し合っているような」結果になる可能性があります。
まとめ:裏ハムラと脂肪注入の同時施術を検討する方へ
今回の解説を通じて、裏ハムラと脂肪注入の同時施術には、確かに一部の患者様にとってのメリットは存在するものの、一般的には慎重な判断が求められることがご理解いただけたかと思います。
裏ハムラと脂肪注入の同時施術が推奨される患者様の特徴
• 年齢が「アラフォー」以上(おおよそ40歳以上)の方
• 裏ハムラ単体では小ジワが目立つ可能性があり、その小ジワ対策を目的とする方
小ジワ対策としての脂肪注入は非常に有効ですが、皮膚のすぐ下への注入は定着率がやや低いという点は理解しておく必要があります。
一方で、青クマ改善や頬の膨らみを目的とした同時施術については、裏ハムラ単体でも間接的な改善効果が期待できること、あるいは施術の精度や効果の点で疑問が残ります。
目の下のクマ治療は、患者様一人ひとりの状態や悩みに合わせて、最適な施術を選択することが何よりも重要です。安易に同時施術を勧められた場合は、その理由や効果について深く掘り下げて質問し、複数の専門医の意見を聞くなどして、慎重に検討されることをお勧めします。
当院の医師は、「極論が嫌い」であり、「裏ハムラと脂肪注入は絶対だ」といった断定的な言い方はしておりません。だからこそ、今回解説したような、限られた適用条件を正確に理解し、ご自身の状態と照らし合わせて判断することが、後悔のない治療選択に繋がるでしょう。
この情報が、あなたのクマ治療選択の一助となれば幸いです。