こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
今回は、多くの方がお悩みであるにも関わらず、その改善が非常に複雑である「口横のポニョ」について、その原因から適切な治療方法までを詳しく解説していきます。
フェイスラインのたるみの中でも、特にマリオネットラインの横に現れる「口横のポニョ」は、「なんとかしたい」というニーズが非常に高いお悩みの一つです。しかし、この部分は構造が複雑で奥深く、原因を正しく見極めずに治療を進めてしまうと、期待する効果が得られないだけでなく、かえって症状を悪化させてしまうリスクもあります。インターネットやSNSで話題になっている治療法が、必ずしもご自身に合っているとは限りません。
この記事では、「口横のポニョ」の基本的な構造から、ポニョを引き起こす4つの主な原因、そしてそれぞれの原因に合わせた適切な改善策と治療アプローチについて、東大医学部卒の吉井健吾医師の視点から深掘りしていきます。
口横のポニョとは?その複雑な構造を理解する
まず、「口横のポニョ」がどのような構造になっているのかを理解することが、適切な治療への第一歩です。口横の部分は、身体の他の部位とは異なり、非常に多くの組織が複雑に層をなしています。
最も表面側にあるのは、私たちの肌を形成する皮膚です。その皮膚のすぐ下には、皮下脂肪が存在します。さらにその深層には、口を動かすための筋肉があり、その筋肉のさらに奥には「バッカルファット」と呼ばれる特殊な脂肪組織が存在します。つまり、筋肉が脂肪でサンドイッチされているようなイメージです。そして、そのバッカルファットのさらに下には、舌で触れることができる口腔粘膜があります。
このように、皮膚、皮下脂肪、筋肉、バッカルファットという異なる種類の組織が密接に関わり合っているため、「口横のポニョ」の原因も一つではないことがほとんどです。
あなたの「ポニョ」はどのタイプ?4つの主な原因
「口横のポニョ」は、主に以下の4つの要素が単独または複合的に関与して発生します。ご自身の「ポニョ」がどのタイプに当てはまるのか、チェックしてみてください。
1. 皮膚のたるみ
加齢に伴い、皮膚のハリや弾力が失われることで、皮膚自体がたるんでシワが寄るように「ポニョ」が形成されるケースです。特に50代、60代、70代といった年齢層では、この皮膚のたるみが顕著になります。このタイプのポニョがあるにも関わらず、誤って皮下脂肪だけを吸引してしまうと、皮膚の余りがさらに目立ち、たるみが悪化してしまうという悲惨な事態を招く可能性があります。
2. 皮下脂肪のたるみ
元々顔の肉付きが良い方や、皮下組織が厚い方は、加齢とともにこの皮下脂肪自体が重力に逆らえずに垂れ下がり、「口横のポニョ」として目立つことがあります。顔のボリューム感がそのまま下に移動してくるようなイメージです。皮下脂肪は、皮膚をつまんだ時にぐっとつまめる部分ですので、ご自身でも比較的簡単に確認できます。
3. 筋肉の要素(口角下制筋の発達・動き)
口の動きも「ポニョ」に大きく影響します。特に、「への字口」になりやすい方や、日常的に口角が下がりがちな方は注意が必要です。口角を下げる筋肉が発達したり、その動きによって皮下脂肪やバッカルファットといった他の組織まで下方向に引っ張られてしまうことで、「口横のポニョ」が形成されたり、シワが寄りやすくなったりします。筋肉の動きによるポニョは、組織を切り取ることが難しいため、治療に限界がある場合もあります。
4. バッカルファットの突出
バッカルファットとは、頬の奥深くにある脂肪の塊で、特に口を開閉する際にクッションのような役割を果たしています。このバッカルファットが過剰に発達していると、口横がプリッと膨らんで見え、「ポニョ」の原因となることがあります。 口の中をよく噛んでしまう方や、口を閉じて笑った時に口横がプリッと張り出す方は、バッカルファットが多い可能性が高いと考えられます。皮下脂肪とは異なり、バッカルファットは皮膚の上からつまむことはできません。
原因別!適切な改善策と治療アプローチ
「口横のポニョ」は、その原因によって最適な治療法が異なります。安易に流行りの治療法に飛びつくのではなく、ご自身の原因に合わせた治療を選択することが重要です。
皮膚のたるみに対する治療
皮膚のたるみが原因のポニョには、皮膚の引き締めや余剰皮膚の除去が効果的です。
• フェイスリフト: 皮膚のたるみががっつりと出ている場合には、外科的に皮膚を引き上げるフェイスリフトが最も効果的です。
• ハイフシャワー: 比較的軽度のたるみや、表層の皮膚の引き締めには、超音波エネルギーを利用した「ハイフシャワー」が有効です。
• RF(高周波)治療: 高周波エネルギーによって皮膚やその下の脂肪層を引き締め、ハリと弾力を回復させる治療法です。年に2回程度の継続が推奨されます。
皮下脂肪のたるみに対する治療
皮下脂肪が原因のポニョに対しては、脂肪量を減らす、または引き締める治療が中心となります。
• 脂肪吸引: 皮下脂肪が厚く、ボリュームが多い場合には、脂肪吸引が選択肢の一つとなります。しかし、皮膚のたるみが強い場合は、かえってたるみを悪化させるリスクがあるため、慎重な見極めが必要です。
• ドットハイフ/リニアハイフ: 深層の皮下脂肪にまでアプローチできるタイプのハイフ治療です。脂肪細胞にダメージを与え、引き締め効果を促します。
• RF(高周波)治療: 皮膚のたるみと同様に、皮下脂肪の引き締めにも効果を発揮します。
• 糸リフト: 医療用の糸を挿入し、たるんだ皮下脂肪組織を物理的に引き上げる治療法です。脂肪組織自体を引き締める効果も期待できます。
• ヒアルロン酸注入(補助的): 口横のポニョ自体の形を変えるわけではありませんが、ポニョの下側、具体的には口角から顎にかけてのラインにヒアルロン酸を注入することで、段差を滑らかにし、フェイスライン全体を整える組み合わせ治療として有効です。
筋肉の要素に対する治療
筋肉の動きや発達が原因のポニョに対しては、筋肉の働きを調整するアプローチが考えられます。
• 口角ボトックス: 「への字口」を改善し、口角を上向きに整えるために、口角を下げる筋肉にボトックスを少量注入する治療法です。ただし、口元の筋肉は非常に繊細なため、打ちすぎると口元が不自然に動いたり、左右非対称になったりするリスクがあります。そのため、ごく少量しか打てない場合が多く、効果には限界があることも理解しておく必要があります。
• 日常生活でのトレーニング: 意識的に口角を上げるように笑う、口元を上に動かすトレーニングを日常的に取り入れることも大切です。
バッカルファットの突出に対する治療
バッカルファットが原因のポニョに対しては、外科的なアプローチが主となります。
• バッカルファット除去: 口の中から過剰なバッカルファットを除去する手術です。しかし、この治療が適用となる方は非常に少なく、安易に除去してしまうと、頬が大きくこけてしまうというリスクがあります。一度こけてしまうと修正が難しい場合もあるため、適用を見極めることが非常に重要です。
• フォトナなど: 最近では、口の中から超音波などで引き締めを図る治療法も登場していますが、まだ広く普及しているとは言えず、その効果には限界があると考えられます。
間違った治療は逆効果!知っておくべき注意点
「口横のポニョ」の治療において、最も重要なことは、ご自身の原因を正しく見極めることです。
かつて、美容医療のトレンドとして「頬と顎下の脂肪吸引、糸リフト、バッカルファット除去」をすべて行う「小顔セットフルコース」が流行した時期がありました。結果として、適応ではない方への治療が含まれていたために、頬が不自然にこけたり、かえって皮膚の余りが出てしまったりと、手術を受けられた方が大変な思いをし、修正相談に来院される患者様も多くいらっしゃいました。
この経験からもわかるように、SNSなどで「口横のポニョには〇〇が良い!」といった情報を見ても、それがご自身に当てはまるとは限りません。特に、皮膚のたるみがあるのに脂肪吸引だけをすると悪化する、バッカルファットは適用が非常に少ない、といった点は注意が必要です。
また、「口横のポニョ」の原因は、皮膚、皮下脂肪、筋肉、バッカルファットの4つの要素のうち、どれか一つだけが原因というケースは稀で、複数重なっていることの方が圧倒的に多いです。そのため、原因のひとつひとつに対して丁寧にアプローチしていくのが、最もリスクが少なく、確実な方法と言えるでしょう。
まとめ
みなさまが気にされている「口横のポニョ」は、その構造の複雑さゆえに、適切な診断と治療が非常に重要となる部位です。誤った治療を選択すると、逆効果となり、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。
ご自身の「口横のポニョ」の原因がどこにあるのかを正しく見極めるためには、専門的な知識と経験を持つ医師の診断が不可欠です。まずは、信頼できる美容クリニックを受診し、ご自身の状態に合わせた最適な治療計画を相談されることを強くお勧めします。
この情報が、皆さんの「口横のポニョ」改善の一助となれば幸いです。
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日付: 2025年9月3日 カテゴリ:形成外科手術