こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。目の下のクマは、疲れて見えたり、老けた印象を与えたりと、多くの方が悩む美容上の問題です。その改善策として、近年特に注目されているのが「裏ハムラ法」と呼ばれる治療です。しかし、この裏ハムラ法にも、実は大きく分けて2つのアプローチがあることをご存じでしょうか?今回は、従来の裏ハムラ法と、新しく登場した「裏ハムラプルアウト法」について、それぞれの特徴や違い、そして当院の見解を詳しく解説していきます。
目の下のクマの原因と「裏ハムラ法」の基本
目の下のクマの主な原因の一つは、眼窩脂肪(がんか脂肪)と呼ばれる目の周りの脂肪が前に突出することです。この脂肪が突出すると、その下にある眼輪筋との段差や、皮膚の薄さによって、影やたるみが生じ、クマとして認識されます。
「裏ハムラ法」とは、この突出した眼窩脂肪を移動させ、目の下の凹んだ部分(クマの影になっている部分)に充填することで、目の下の段差をなくし、滑らかな状態に戻す手術です。一般的には、まぶたの裏側(結膜側)からアプローチするため、皮膚表面に傷跡が残らないのが大きな特徴です。
この裏ハムラ法には、大きく分けて「従来の裏ハムラ法」と「裏ハムラプルアウト法」の2種類があります。どちらも脂肪を移動させる点は共通していますが、その脂肪をどこに固定するかという点で決定的な違いがあります。
従来の裏ハムラ法とは?
まず、従来の裏ハムラ法について解説します。
手術の流れと特徴
この手術では、まず下まぶたを「あっかんべー」と下げるようにして、目の裏側にある結膜を切開します。次に、その切開部から眼輪筋の下にある眼窩脂肪を見つけ出し、突出している脂肪を剥離して移動させます。必要に応じて、余分な脂肪を少し削ることもありますが、クマ取りのように根こそぎ取ることはありません。
そして、ここが重要なポイントですが、移動させた脂肪は、目の下の骨の縁に沿って骨膜(骨を覆う薄い膜)にしっかりと縫い付けて固定します。これにより、脂肪が再び突出するのを防ぎ、長期的な効果を維持します。
難易度・時間・費用
従来の裏ハムラ法は、脂肪を骨に確実に固定する必要があるため、手術には高い技術と丁寧な操作が求められます。骨膜に組織を剥離して固定源を作る作業は熟練の技が必要です。手術時間は通常、40分から60分程度かかります。費用はクリニックにもよりますが、一般的には40万円から50万円程度が相場とされています。
当院の見解
裏ハムラプルアウト法とは?
次に、近年広がりを見せている裏ハムラプルアウト法について見ていきましょう。
手術の流れと特徴
プルアウト法も、従来の裏ハムラ法と同様に、結膜を切開して眼窩脂肪を露出し、移動させるところまでは同じです。しかし、脂肪の固定方法が大きく異なります。プルアウト法では、移動させた脂肪を骨側ではなく、目の下の皮膚側に固定します。
具体的には、目の下の皮膚に非常に小さな針穴を開け、その穴を通して糸をかけ、脂肪を皮膚側に引き出して固定します。このとき、糸の先端は一時的に皮膚の外に出したままにします。
糸の管理と変化
この皮膚から出ている糸については、以前は1週間程度出しっぱなしにしてテープで固定し、1週間後に傷口が癒着した段階で切断するという方法が一般的でした。しかし、最近では、手術当日に糸を切ってしまうクリニックも出てきているようです。これは、患者さんにとって「糸が出しっぱなし」という状況への抵抗感を軽減するためと考えられます。
難易度・時間・費用
プルアウト法は、脂肪を骨に固定する手間がないため、手技が比較的簡単で、短時間で手術を終えることができます。実際、手術時間は約20分程度と、従来の裏ハムラ法の半分ほどの時間で完了すると言われています。この手軽さから、大手クリニックなどで採用され、安価に提供される傾向にあります。中には「裏ハムラが20万円以下」といった価格で提供している場合、このプルアウト法が選択されている可能性が高いとされています。
プルアウト法に対する当院の懸念点
手軽で安価、そして短時間でできるプルアウト法は、患者さんにとっても魅力的に映るかもしれません。しかし、当院では現在のところ、このプルアウト法を積極的に採用していません。その理由となる懸念点をいくつかご紹介します。
1. 見た目の印象と仕上がりへの懸念
プルアウト法は脂肪を「皮膚側」に固定するため、目元がわずかに浮いたような印象になるケースが見受けられます。従来の裏ハムラ法で脂肪を骨膜に固定することで得られる、脂肪が「ペタッと滑らかに決まる」ような自然な仕上がりとは異なると感じています。当院でプルアウト法の症例を見た際、まだクマが残っているように見えたり、少し浮いたような印象を受けることがあるため、仕上がりの自然さには疑問が残ります。
2. 長期的な効果の不透明さ
プルアウト法は比較的新しい治療法であるため、長期的な経過に関するデータがまだ不足しています。例えば、数年後に再発する可能性や、期待した効果が持続しないといったケースがどの程度発生するのか、現時点では判断が難しい状況です。当院としては、患者さんに安心して治療を受けていただくためにも、より多くの長期的な症例データが必要だと考えています。
3. 固定の安定性への疑問
従来の裏ハムラ法では、脂肪を骨膜に「ギュッと結んで」固定しますが、プルアウト法は糸を皮膚から「ピッと出して」切るだけで、しっかりと結びつけるような工程がない場合があります。この固定方法では、脂肪と周囲組織との癒着が不十分な場合、時間が経つにつれて脂肪が元の位置に戻ってしまう(再発する)可能性を懸念しています。特に、術後に目元を強く擦るなどの行為があった場合、固定が外れやすくなるリスクも考慮すべきだと考えています。
当院のスタンス
これらの懸念から、当院では現時点では、実績と安定した効果のある従来の裏ハムラ法を引き続き採用しています。もちろん、プルアウト法が今後、長期的な経過観察によって安全かつ有効であると証明されれば、その可能性を検討する余地はあるでしょう。しかし、患者様の安全と満足を最優先に考える当院としては、現段階での積極的な導入は見送っています。
どちらの治療法を選ぶべきか?クリニック選びの注意点
従来の裏ハムラ法とプルアウト法は、どちらも「裏ハムラ」と一括りに呼ばれることが多く、適用範囲(どのようなクマに有効か)については基本的に大差がないとされています。しかし、手術内容、特に脂肪の固定方法に大きな違いがあることをご理解いただけたかと思います。
患者さんへのアドバイス
「安く、早く」治療を終えたい場合は、プルアウト法が選択肢の一つになり得るでしょう。ただし、その際は長期的な効果や再発リスクについて、医師と十分に相談し、納得した上で選択することが重要です。
• 実績と安定した長期的な効果を重視する場合は、従来の裏ハムラ法を検討するのが良いでしょう。
クリニック選びの注意点
特に注意していただきたいのは、「裏ハムラ」としか書かれていない場合でも、実際にはプルアウト法が実施される可能性があるという点です。安価に裏ハムラを謳っているクリニックでは、プルアウト法を採用しているケースが多いと言われています。
クリニックのウェブサイトや、カウンセリング時に提示される手術の同意書などに記載されている図をよく確認することが大切です。脂肪を固定する際に「糸を表側(皮膚側)に出しますよ」といった説明が書かれていれば、それはプルアウト法である可能性が高いです。疑問点があれば、必ず医師に直接質問し、納得いくまで説明を求めましょう。
まとめと今後の展望
目の下のクマ治療は、患者さんの悩みに応えるために日々進化しています。裏ハムラ法もその一つであり、新しい術式であるプルアウト法が登場したことで、治療の選択肢が広がりました。
しかし、新しい治療法は魅力的である反面、その効果や安全性、特に長期的な経過については、慎重な評価が必要です。当院では、患者さんに安心して確実な効果を実感していただくため、現時点では実績のある従来の裏ハムラ法を選択しています。
今後も、クマ治療のトレンドや研究結果を注視し、もしも長期的に見てプルアウト法が従来の裏ハムラ法と同等かそれ以上のメリットと安全性が確認されれば、その時は積極的に導入を検討していく所存です。
ご自身の目の下のクマに悩んでいる方は、ぜひ一度専門医にご相談ください。それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解し、ご自身に最適な治療法を見つけることが、理想の目元を手に入れる第一歩となるでしょう。
裏ハムラについて、詳しくはこちらをご覧ください:https://www.ochanomizubiyou.com/surgery/kuma.html
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