こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
たるみ治療の相談で美容クリニックを訪れる方は多くいらっしゃいます。たるみ治療における究極の手術治療と言えば、やはりフェイスリフトが有名です。
しかし、「フェイスリフト」と聞くと、多くの方が高すぎるハードルを感じてしまいます。耳の前から首まで大きく切開し、腫れがひどく、手術時間が長く、顔面麻痺などのリスクを心配される方が多いためです。
こうした背景から、最近では「少ししか切らないフェイスリフト」が注目を集め始めています。その一つが「MACSリフト(マックスリフト)」と呼ばれる手術です。これは比較的新しい手術であり、長期的な効果や持続性について、今後検証されていくべき治療ではありますが、従来の手術に比べて患者様にとって取り組みやすい利点が多くあります。
今回は、このMACSリフトがどのような手術なのか、また、なぜ比較的手軽に受けられるのか、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
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1. MACSリフトとは?従来のフェイスリフトとの違い
従来の本格的なフェイスリフトは、単に皮膚を切開して引っ張るだけではありません。皮膚をめくる操作に加え、その下にあるSMAS(スマス)と呼ばれる脂肪組織や筋肉の上の厚い組織(靭帯組織)も一緒に引き上げることにより、より強い引き上げ効果と持続性を実現します。
一方で、MACSリフトのアプローチは異なります。
手術の範囲と操作の限定
MACSリフトの切開は非常に限定的で、ほとんど耳の前だけ、もしくは揉み上げのところから入る程度です。これは、当院のミニリフトと同程度の切開範囲にあたります。
この手術の大きな特徴は、皮膚の浅い層(表層)のみに操作を加える点です。皮膚はペロンとめくりますが、従来のフェイスリフトのようにSMAS層を大きく剥離したり、操作したりすることは基本的にしません。
糸リフトとの併用による引き上げ効果の補強
皮膚をめくって引っ張り上げる操作だけでも、顔の小じわや浅いたるみを引き上げる効果は期待できます。しかし、SMAS層に触れないため、深部の組織に対する引き上げ効果が限定的になりがちです。
そこでMACSリフトでは、深部組織への効果を高めるために、糸リフト(スレッドリフト)を併用します。皮膚の切開と浅層の引き上げに加えて、糸を挿入し深部の組織を引っ張り上げることにより、より引き締め効果を生み出すのです。
MACSリフトは、効果の程度としては、ミニフェイスリフトやミドルフェイスリフトと、糸リフトの中間ぐらいだと考えられています。
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MACSリフト:皮膚を切開し、余分な筋膜や皮膚を切除することでお顔のたるみが改善されます。
料金:495,000円~※料金は変更となる可能性がございます。切開範囲によっても異なります。
リスク・副作用:出血、腫れ、感染、傷跡、瘢痕、顔面の知覚鈍麻、たるみの後戻り 等
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2. MACSリフトの大きなメリットと利点
MACSリフトが「とっつきやすい」フェイスリフトとして注目されるのには、従来のフェイスリフトにはないいくつかの大きな利点があるからです。
メリット1:ダウンタイムが短い
皮膚の表層部分の剥離のみで手術が進むため、ダウンタイムが少ない(短い)という点が最大のメリットの一つです。目安としては、眉毛の際に沿って皮膚を切って引き上げる「眉下切開」と同じくらいのダウンタイムだと考えられています。
メリット2:手術時間とコスト(費用)が抑えられる
手術で深い組織まで操作しないため、手術時間自体も短くなります。手術時間が短いことで、手術費用もフェイスリフトの中では比較的安く抑えられる傾向があります。ダウンタイムとコストの両面で、患者様にとって取り組みやすい治療法と言えます。
メリット3:再手術(修正)がしやすい
従来のフェイスリフトでは、深い組織(SMAS層など)にまでメスを入れるため、手術後に組織の癒着や傷跡が残ります。もし数年後に「本格的なフェイスリフトをやり直したい」となった場合、癒着が原因で2回目の手術の難易度が上がってしまうことがあります。
しかし、MACSリフトは基本的に皮膚を引っ張り上げているだけなので、深いところに傷跡や傷の癒着がありません。そのため、5年後や10年後に本格的なフェイスリフト(フルフェイスリフト)を行う際のハードルが低く、複数回の手術が比較的しやすい(再手術・修正がしやすい)という大きな利点があります。
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3. MACSリフトの限界と注意点(デメリット)
MACSリフトは利便性が高い一方で、万能ではありません。従来の「切るフェイスリフト」に比べると、効果の面で限界があることは理解しておく必要があります。
デメリット1:効果の程度と持続期間には限界がある
MACSリフトは皮膚の浅い部分の引き上げが中心であり、SMAS層に大きく手を入れて引き上げる従来のフェイスリフトと比較すると、効果の程度や持続期間(持ち)が短くなる傾向があります。
糸リフトを併用することで、単純に皮膚を切って縫っているだけの状態よりは引き上げ効果は強くなりますが、本格的な「切るフェイスリフト」に比べれば、効果は限定的であり、持続期間も短くなります。
そのため、手術から5年後、10年後といった期間で、再びたるみが現れる可能性は十分にあります。
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糸リフト:内容:メスを使うことなく、吸収性の糸をこめかみ辺りなどから挿入することで、お顔のたるみ改善・予防、全体的な引き締めが期待できます。
リスク・副作用:内出血、腫れ、疼痛、ひきつれ、ツッパリ感、感染、左右差、凸凹等
デメリット2:費用対効果(コスパ)の判断
MACSリフトは比較的新しい治療法であり、今後、長期的な効果やコストとのバランスが検証されていく必要があります。
費用が安く、ダウンタイムが短いという利点はありますが、本格的なフェイスリフトに比べて効果の持続期間が短い場合、最終的に費用対効果(コストパフォーマンス)に見合うかどうかは、患者様ご自身が判断すべき点となります。もしコスパに見合わないと判断されれば、この手術自体が廃れていく可能性も示唆されています。
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まとめ:MACSリフトは「とっつきやすい」選択肢
MACSリフトは、たるみ治療の究極系であるフェイスリフトを、より身近にするために生まれた治療法と言えます。
本格的なフェイスリフトには二の足を踏んでいた方にとって、ダウンタイム的にも、コスト的にも、そして将来的な再手術のしやすさという点でも、「とっつきやすい」選択肢となるでしょう。
ただし、効果の持続性については従来の深い組織まで操作する手術に比べて限界があるため、ご自身のたるみの状態、予算、そして期待する持続期間を総合的に考慮した上で、この手術を選択することが重要です。