1. なぜ顔は「たるむ」のか?構造から理解する原因
単に「目の下のたるみ」や「フェイスラインのたるみ」といった表現で語られるたるみですが、その原因は顔の構造的な変化にあります。 顔の構造は、上から皮膚、脂肪組織、筋肉、そして骨のすぐ上にも薄い脂肪組織、その下に骨(頭蓋骨)という層になっています。 たるみは、単に皮膚が伸びたり、脂肪が垂れ下がったりするだけでなく、ボリュームのロス(痩せ)によって引き起こされます。- 骨の萎縮: 年齢とともに頭蓋骨自体が少しずつ痩せてきます。
- 深部の脂肪組織の痩せ: 骨と筋肉の間にあるわずかな脂肪組織も痩せてきます。
2. たるみ治療の柱:深さ別アプローチ
たるみ治療は、どの層にアプローチするかによって手法が異なります。2-1. 皮膚のたるみ・引き締め(シワ改善にも通じる)
主に皮膚(真皮)に働きかけ、タイトニング(引き締め)を狙う治療法です。 A. RF(ラジオ波)治療 皮膚に熱を加え、キュッと縮めることでタイトにする方法です。- 代表格: サーマクールが本元として有名です。効果は高いですが、1回あたり20万円程度と高価です。
- 新しい機器: 最近では、ポテンツァ、サーマジェン、ボルニーマ、シルファームXなど、様々な機器が登場しています。
- 手法の違い: 針を刺さずにRF治療を行うのがサーマクールやサーマジェン、ボルニーマです。一方、ポテンツァやシルファームは、針を刺してタイトニングを行うことができます。特にポテンツァはダイヤモンドチップを使うことで、針を刺さずにサーマクールのような使い方もできる万能性があります。
- フラクショナルレーザー: 当院ではダウンタイムが比較的短いピコフラクショナルレーザーを採用しています。皮膚表面を引き締め、小ジワ改善や毛穴治療にも使われます。
- ロングパルスヤグレーザー(例:ジェネシス、レーザーシャワー): 脱毛器と同じ原理で、少し緩やかな設定で使われます。このレーザーは主に赤み(毛細血管)に反応する性質が強く、皮膚の深部にある毛細血管に熱を作用させ、これを引き締めることで顔全体を引き締める効果を狙います。
- 水光注射/水光ボトックス: 薬剤(ボトックスなど)を皮膚に注入することで小ジワを引き締めます。
- ダーマペン: 物理的に穴を開け、治癒過程で皮膚を引き締める治療です。
- ヒアルロン酸製剤の進化: 最近では、プロファイロ等といった製剤が登場しており、これらは皮膚のすぐ下へ均一に注入し、ヒアルロン酸が持つ吸水性によって皮膚のハリを出させることを狙います。
- ポテンツァとの併用: 薬剤を導入し、肌にハリと引き締めを出す方法もあります。
2-2. 脂肪組織のたるみ・引き締め
皮膚の下の脂肪組織をターゲットにした治療です。 A. HIFU(ハイフ) 脂肪組織のたるみ治療における王道です。- 原理: 超音波(エコーと同じ)を皮膚よりも深い層の脂肪組織に集中させて熱を発生させ、脂肪を熱でギュッと縮める(タイトにする)方法です。イメージは、焼肉を焼いた時に肉が縮まるのと似ています。引き上げるというよりは、引き締める治療です。
- 進化と価格: 初代のウルセラは効果が非常に高い反面、痛みも強く、価格も高額(30万円程度)、そして神経障害のリスクもありました。現在主流の第4世代(韓国製が多い)は、痛みや効果がマイルドになった分、定期的な照射(年に3~4回)が必要ですが、1回あたりのコストは5~7万円程度と大幅に安くなり、とっつきやすくなっています。当院では第4世代の中でも効果が高いウルトラフォーマーを導入しています。
- 安全性の注意: 家庭用やエステHIFUも増えていますが、効果が出にくいだけでなく、医療HIFUよりも火傷の報告が多いため、効果と安全性の面から医療HIFUが推奨されます。
- 推奨素材: PDO、PCL、PLLA、ポリカプロラクトンなど様々な素材がありますが、溶ける糸を選ぶべきです。
- 避けるべき素材: 昔使用されていた溶けない糸(金の糸など)は、効果が切れても体内に残り続け、筋肉の突っ張りや引き連れの原因となるほか、HIFUなどの将来的な治療ができなくなるといった問題を引き起こす可能性があります。
- 原理: 糸で引き上げている効果(術後すぐの見た目の効果)は短く、持っても2~3ヶ月程度です。真の目的は、トゲトゲの糸で皮膚の下の脂肪組織をわざと傷つけることにあります。これは筋トレと同じ原理で、傷ついた組織が治癒する過程で硬くギュッと引き締まり、ハリが出ることを狙います。
- 頻度: 理想的なのは年に1回の施術です。
- 美容皮膚科的理想のメンテナンス: HIFUを年に2回、糸リフトを年に1回行うのが最も理想的なスパンと考えられます。
2-3. 深部のボリュームロスへの対応
骨のすぐ上にある薄い脂肪組織の「痩せ」を補う治療です。- 注入治療: ヒアルロン酸注入が王道です。
- 注入部位: 顔面のボリュームロス(頬の前面や額など)を補う場合は、物理的にボリュームを足すために骨の上の骨膜上に注入します。これによりたるみ治療の一環とします。こめかみなど骨がない部分は皮下に注入します。
3. 外科的なたるみ治療の選択肢
たるみが強い場合や、根本的な改善を望む場合は外科的治療が適用されます。- 脂肪吸引/脂肪注入: 若い方(30代頃まで)のフェイスラインのもたつきは、脂肪吸引で改善することがあります。30代以降で痩せが目立つ場合は、脂肪注入を併用します。
- フェイスリフト: たるみ治療の「王様」とも呼ばれ、皮膚を切って引き上げる手術です。ブルドックのようにたるみが強すぎる場合に最も効果的です。
4. 年代別・たるみ治療の推奨パターン
どの治療を選ぶべきかは、年代やたるみの状態によって変わってきます。たるみ治療は、どの年代であっても、RF治療、HIFU、糸リフトなどの美容皮膚科的治療は予防やメンテナンスとして適用になります。適切な治療を定期的に行い、若くきれいなお顔を保ち続けることが可能です。 〈推奨される治療〉 年齢層:20代後半~30代 主なたるみの悩み/状態:予防、元々のもたつき、またはボリューム不足 推奨される治療:RF治療、HIFU、糸リフト(予防・メンテナンス)。もたつきが強い場合は脂肪吸引、ボリューム不足があればヒアルロン酸/脂肪注入。 ------------------------------------------------- 年齢層:30代~40代 主なたるみの悩み/状態:たるみが顕在化し始める 推奨される治療:HIFU、糸リフトが効果的。脂肪吸引・注入の併用も有効。たるみが進行し皮膚のゆるみが出始めたら、40代前後からフェイスリフトが適用になる場合がある。 ------------------------------------------------- 年齢層:40代後半~60代 主なたるみの悩み/状態:重度のたるみ、ボリュームロス、目周りのたるみ 推奨される治療:フェイスリフトや目周りの手術(眉下切開、ハム目手術)が適用。美容皮膚科的な治療は、若返りというよりは現状維持のメンテナンスとして定期的に繰り返すことが重要。 詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/treatment.htmlご予約や当院ホームページから
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