1. 切開フェイスリフトの基本:効果と手術の種類
フェイスリフトは、基本的に皮膚を切る手術であり、たるみを引き上げる最も確実な方法です。特にマリオネットラインの付きやフェイスラインのたるみを改善することに優れています。 しかし、フェイスリフトは効果が確かに出る一方で、手術の限界自体も存在するという点を誤解のないように理解しておくことが大切です。 フェイスリフトは、切開範囲によって引き上げ効果や適応が異なります。- ミニフェイスリフト(マックスリフト): もみあげの前から耳の前までを切る、比較的軽めの術式です。
- ミドルフェイスリフト: ミニフェイスリフトの範囲に加え、さらに耳の後ろまで切開範囲を追加します。
- フルフェイスリフト: 耳の後ろから横切り、うなじのところまで切って、首のたるみまで引き上げる最も広範囲な手術です。
2. 術後のダウンタイムと経過:意外に少ない腫れ
「顔の皮をめくる」というイメージから、フェイスリフトのダウンタイムを非常に恐れる方も多いです。しかし、フェイスリフト自体のダウンタイムは、皆さんが思っているほど多くないと感じるでしょう。 手術では、皮膚をめくった後、引っ張り上げてタイトに固定します。これにより、血液が溜まったりして顔がボコボコに腫れるようなことは起こりにくくなっています。 ただし、術後には圧迫が必要なため、フェイスバンドを巻いていただく必要があります。これは若干鬱陶しさを感じるかもしれませんが、シャワーを浴びる際は外していただいて構いませんので、術後1週間シャワーが浴びられないといった心配はありません。 術後の経過は、以下のように推移します。- 術後1週間: ある程度の腫れが認められます。
- 術後1ヶ月: 外から見て違和感のあるような大きな腫れはほとんどなくなります。この時期は、傷口が拘縮(こうしゅく)や癒着を起こし、最も硬くなっているため、顔がタイトに見え、張りが出ているように見える時期です。また、わずかなむくみが残っていることで、張りが出ているように見える可能性もあります。傷口自体も赤く盛り上がって目立つことがあります。
- 術後3ヶ月〜6ヶ月: むくみがほぼ完全になくなり、傷口も落ち着いて柔らかくなってきます。一般的に、術後半年が経つと「落ち着いた」状態と見なされることが多いです。
3. 効果の持続と後戻りの実態
切開フェイスリフトは、糸リフトやHIFUよりも確実に効果を出せますが、一度の手術で一生たるまないわけではありません。加齢とともに、皮膚のたるみやシワは徐々に出てきます。 また、術後には「後戻り」という現象が発生しますが、これは2つの要素に分けられます。1. 見かけ上の後戻り(むくみの消失・傷の軟化)
術後1ヶ月の段階で非常にタイトに見えていた状態は、むくみや傷口の硬さ(拘縮)による影響を含んでいます。その後、3ヶ月や6ヶ月が経過するにつれて、むくみが取れ、硬かった傷口が柔らかくなることで、皮膚が少しゆるみ、「後戻りしたように見える」ことがあります。2. 一定の物理的な後戻り
切るフェイスリフトであっても、皮膚や組織には柔軟性があるため、一定の後戻りは必ず出ます。感覚としては、「10引っ張ったとしたら、少し戻って5ぐらいの効果が残る」と考えていただくと現実的です。この「残った5」の引き上がり効果は、長期間にわたって持続します。 後戻りの程度は、術式、ドクターの技術、そして患者様の適用(年齢や皮膚の柔らかさ)に依存します。70代や80代のように皮膚が非常に柔らかい方は、50代や60代の方に比べて、後戻りの程度が大きくなる傾向があります。しかし、適切な術式でしっかりと固定ができていれば、効果はしっかりと維持されます。 実際、当院の手法を用いたミドルフェイスリフトの症例では、術後1年半が経過しても、マリオネットラインの改善と、フェイスラインのシュッとした状態が維持できていることが確認されています。少なくとも1年や2年という単位で、フェイスリフトの効果は十分に維持できるのです。4. 症例解説:60代女性ミドルフェイスリフトの長期経過
当院での長期経過症例として、ミドルフェイスリフトを受けられた60代の女性の経過を詳しく解説します。患者情報と手術適応
患者様は60歳の女性で、最も気にされていたのは、マリオネットラインや、ブルドッグのように顔が垂れてきて、広角の横のあたりにお肉が溜まってもたつく状態でした。 フェイスリフトは、このマリオネットラインの付きやフェイスラインを改善する手術として最も適した治療法であり、非常に効果が期待されました。 (なお、フェイスリフトはほうれい線も一緒に引き上がりますが、マリオネットラインに比べると引き上がりは弱くなるため、ほうれい線を特に浅くしたい場合は、ほうれい線上の脂肪吸引や、ヒアルロン酸・脂肪注入などを組み合わせることが最も良いとされています。)実施された手術内容と選択理由
実施された手術はミドルフェイスリフトです。これはもみ上げから耳の前、さらに耳の後ろまで切開する術式です。 本来はフルフェイスリフトまで行うのが最も効果的ではありますが、この患者様は「首まで切るのは怖い」という相談があったため、相談の上、ミドルフェイスリフトを選択されました。手術では、単に皮膚だけではなくSMAS(筋肉より上の組織)も引き上げて固定し、さらなる引き上げ効果を持続させる手法を用いています。 また、この患者様はミドルフェイスリフトと同時におでこ・こめかみの脂肪注入も一緒に行っているため、術後1週間は顔全体にむくみが見られました。長期経過の確認(術後1年半)
術後半年が経つと、むくみが完全に取れ、傷口も落ち着いた状態となります。この患者様は、術後10ヶ月の時点でも問題なく状態が維持できていることを確認し、さらに術後1年半が経過した時点でも診察にいらっしゃいました。 結果として、マリオネットラインの改善と、フェイスラインのシュッとした状態が1年半経っても維持できていることが確認されました。 この症例からも、当院の手法を用いたフェイスリフト手術は、少なくとも1年、2年という単位でちゃんと効果を維持できることが示されています。
5. 傷跡への対応:ケナコルト注射という選択肢
切開フェイスリフトでは、顔を引き上げるために傷の部分にどうしてもテンション(張力)がかかります。体質や皮膚の硬さによっては、術後1ヶ月から3ヶ月の間に傷跡が赤く盛り上がったり、硬くなったりする(ケロイド傾向)ことが稀にあります。 しかし、このような兆候が見られた場合でも、適切に対応することが可能です。経過観察の過程で、赤く目立ってくるようであれば、ケナコルト注射というステロイドの注射を用いて対応します。この注射は、傷を白くしたり柔らかくしたりする効果があり、傷跡を目立ちにくくしていくことができます。 当院の長期経過症例の写真でも、術後半年を経過した時点では、耳の後ろの傷跡も肌色に馴染み、目立たない状態になっていることが確認されています。傷跡のフォローアップも、手術後の経過において非常に重要です。まとめ
切開フェイスリフトは、たるみ治療の中で最も強力で、少なくとも数年にわたって確実な効果を維持できる治療方法です。 特にマリオネットラインやフェイスラインのたるみを根本的に解決したい場合、患者様のたるみの状態や年齢に合わせて、ミドルフェイスリフトやフルフェイスリフトなどの適切な術式を選択することが重要です。 術後の経過で一時的に後戻りしたように見える期間があっても、長期的に見れば、引き締まった状態はしっかりと保たれます。たるみにお悩みで、確実で長期的な改善を望む方は、ぜひ一度、切開フェイスリフトについて専門医にご相談ください。 詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/surgery/facelift.htmlご予約や当院ホームページから
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