こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
目の下のクマは、お顔の印象を大きく左右するお悩みの一つです。「クマ取り」という言葉を耳にされたことがある方も多いと思いますが、その中でも「裏ハムラ」という術式についてご存知でしょうか?裏ハムラは、時に慎重な検討が必要とされる手術ですが、特定の条件下では非常に有効な選択肢となります。今回は、裏ハムラの利点や弱点、そしてどのような方におすすめできるのかを詳しく解説します。
クマ取り(脱脂術)と裏ハムラ、根本的な違いとは?
まず、目の下のクマを改善する代表的な手術である「脱脂術(クマ取り)」と「裏ハムラ」の違いから見ていきましょう。
どちらの術式も、眼窩隔膜を切開し、不要な脂肪にアプローチするという点では共通しています。しかし、その後のアプローチが大きく異なります。
- 【クマ取り(脱脂術)】:主に眼窩脂肪を「取る」ことで、目の下の膨らみを解消します。
- 【裏ハムラ】:クマ取りほど多くの脂肪を取るのではなく、脂肪を「移動させる」ことが特徴です。具体的には、骨のヘリやその周辺の溝に脂肪を再配置し、眼窩隔膜と骨膜でサンドイッチ状に固定します。このコンセプトは、「クマ取りほど凹まず、滑らかに凹ませる」という点にあります。
さらに、裏ハムラでは、脂肪を膜ごと固定するため、理論上はクマ取りよりも再発しにくいと言われています。ただし、実際の癒着や瘢痕の程度を見ると、現場では再発しやすさやしにくさについて一概には言えないという意見もあります。
裏ハムラの利点:へこみすぎない自然な仕上がり
裏ハムラの最大の利点は、「へこみすぎない」という点にあります。
- ・滑らかな仕上がり:脂肪を再配置することで、目の下の膨らみだけでなく、その下の凹み(溝)も同時に改善し、全体的に自然で滑らかな目元に仕上げることができます。クマ取りで脂肪を取りすぎると、目の下が不自然にへこんでしまうリスクがありますが、裏ハムラではそれを避けることが期待できます。
- ・形状を大きく変えずに改善:目の下の形を大きく変えたくはないけれど、出っ張りを改善したいという方におすすめできます。特に、脂肪の出っ張りや溝が軽度から中等度の方に推奨されることがあります。
裏ハムラの弱点とリスク:手術の複雑さがもたらす課題
裏ハムラは緻密な手技を要するため、いくつかの弱点やリスクが存在します。
- ■工程数の多さ:クマ取りが単純に脂肪を「取る」のに対し、裏ハムラは奥を剥離し、糸をかけ、固定するという多くの工程を伴います。手術の手数が多いほど、何らかの偶発的なことが起こる可能性が高くなると考えられます。
- ■偶発的なリスク:
- ・外眼筋の損傷:非常に稀なケースですが、眼球を動かす筋肉(外眼筋)を誤って切断してしまい、物が非常に見えづらくなる(複視)といったリスクが報告されています。
- ・CPF(眼窩隔膜の一部)の過剰な牽引:眼窩隔膜の奥深くまでつながる筋肉と腱板の間の膜であるCPFを過剰に引っ張ってしまうと、目の動きが制限される可能性があります。これはクマ取りでは通常起こらないようなリスクとされています。
- ・内出血が出やすい:クマ取りと比較して、裏ハムラは術後の内出血が出やすい傾向があります。完全に引くまでに時間がかかる場合もあり、特に術後1週間では頬の前面にまで及ぶこともあります。
- ■医師の技術差:工程が多く、より繊細な技術が求められるため、執刀医の技量によって結果やリスク発生率に差が出やすい手術と言えます。
どのような時に裏ハムラを勧めるのか?
- ①脂肪の出っ張りやその下の溝が軽度から中等度の方
- 少しの出っ張りが気になる場合、クマ取りで控えめに脂肪を取ると、再発しやすい可能性があります。このような場合に裏ハムラを検討することで、凹みすぎを防ぎつつ、再発のリスクを軽減する効果が期待できます。
- ②中高年の方で、本来は皮膚切除を伴う表ハムラが適用されるが、皮膚切開を避けたい方
- ・年齢を重ねると、目の下の皮膚のたるみが気になる方もいらっしゃいます。本来であれば皮膚を切除する「表ハムラ」が適応となるケースでも、ご本人が皮膚切開を避けたいと希望され、かつ比較的皮膚の張りがある方には、まず裏ハムラをご提案することがあります。
- ・裏ハムラを行うことで、クマ取り後よりもシワの状態が改善される可能性があり、術後に残ったシワが許容範囲内であれば、それ以上の手術は不要となるケースもあります。もし、後からシワが気になるようであれば、改めて皮膚切除術を追加することも可能です。
実際の症例から見る裏ハムラの効果
当院の症例を3例ご紹介します。
- 症例1(30代女性):目の下の脂肪の出っ張りがありましたが、その下の溝は少ない方でした。裏ハムラを行った結果、術前よりすっきりとし、凹みすぎることなく、出っ張りだけが平らになった自然な仕上がりになりました。
- 症例2(50代女性):年齢的に表ハムラの適応も考えられましたが、比較的皮膚の張りがあり、ご本人が皮膚切開を希望されなかったため、裏ハムラを選択しました。術後6ヶ月の時点で、ちりめんジワのようなものはあるものの、ご本人は満足されており、皮膚切除は不要という結果になりました。横から見ても、目の下の膨らみがなだらかになっています。
- 症例3(40代前半女性):脂肪の出っ張りも溝も比較的軽い方で、皮膚のたるみも少ない状態でした。裏ハムラにより脂肪を移動させた結果、術後1週間で腫れも少なく、涙袋のすぐ下はなだらかに凹んだ、すっきりとした目元になりました。
料金:396,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等
まとめ:最適な選択は個別の診察から
裏ハムラは、目の下のクマを「凹みすぎずに滑らかに改善したい」という方にとって、非常に有効な選択肢となり得ます。特に、脂肪の出っ張りが軽度から中等度の方や、皮膚切開を避けたい中高年の方には良い結果をもたらす可能性があります。
しかし、その一方で、手術の工程が多く、一部のリスクや術後の内出血が出やすいといった弱点も存在します。また、医師の技術力が結果を大きく左右するため、クリニック選びも重要です。
どの手術方法が最適かは、患者様一人ひとりの目の下の状態、年齢、皮膚のたるみ具合、そして「何を優先したいか」というニーズによって大きく異なります。そのため、まずは専門医による詳細な診察を受け、ご自身の状況と希望をしっかりと伝えた上で、最適な手術方法について相談することが何よりも大切です。
目の下のクマでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。