こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
今回は、多くの方が気にされている目の下のクマ治療、特に「脱脂後に目の上が凹むのではないか?」という疑問と、「一度クマ治療を受けたら、もう再発はしないのか?」という長年の疑問について、詳しく解説していきたいと思います。
このブログ記事を通して、クマ治療に対する皆さんの不安や疑問が少しでも解消されれば幸いです。
1. 「脱脂すると目の上が凹む」って本当?その構造と仕組み
クマ治療で最も一般的な方法の一つに、目の下の余分な脂肪を取り除く「脱脂(だっし)」があります。この治療に関して、「下まぶたの脂肪を取ると、上まぶたが凹んでしまうのではないか?」という心配の声をよく耳にします。
巷で言われる「上まぶたが凹む」メカニズムの誤解
一部の解説では、「下まぶたの脂肪と上まぶたの脂肪は奥で繋がっているため、下の脂肪を取ると、上まぶたの脂肪がなだれのように下に流れてきて、結果的に上のまぶたが凹む」という説明がされることがあります。しかし、基本的にそのようなことは起こりません。
上まぶたと下まぶたの脂肪は確かに連続していますが、実際には薄い膜で隔てられています。この膜があるため、上まぶたの脂肪がそのままズルズルと下まぶた側に流れ込んでくることは、まずないと考えていただいて大丈夫です。私自身の経験でも、年間500~600件ものクマ治療を行っていますが、本当に上まぶたが凹んでしまったという方は、1人か2人いるかいないかというくらい、非常に稀なケースです。そのため、過度に心配しすぎる必要はありません。
ごく稀に起こる「上まぶたの凹み」の真のメカニズム
では、もし実際に上まぶたが凹んでしまったとしたら、それはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?その場合のメカニズムは、脂肪が流れてくるというよりは、以下のような構造的な変化によるものと考えられます。
- ・眼圧の低下と眼球の位置変化:下まぶたの脂肪がなくなることで、眼球を支えていた圧力がわずかに低下します。これにより、眼球がほんの少しだけ下に下がります(眼圧の低下)。
- ・上部スペースの形成と脂肪の引っ込み:眼球が下がると、その分、眼球の上の部分にわずかなスペースが生まれます。このスペースができると、そこに向かって上まぶたの脂肪がフッと奥に引っ込むような形になります。この結果、上まぶたが凹んで見える可能性がある、というわけです。
これはあくまで理論上の可能性であり、実際に上まぶたの脂肪がずるずると雪崩のように流れてくるようなことは、今まで見たことがありません。
上まぶたの凹みへの対策
万が一、上まぶたの凹みが気になるという場合は、この上側のくぼんだ部分に薄く脂肪を注入してあげることで、かなりの改善が期待できます。当院でも、このようなケースに対しては適切な処置を行っていますのでご安心ください。
2. クマ治療後に再発はする?眼科周囲の加齢性変化との関係
クマ治療を検討されている方からよくいただく質問に、「この治療を一度受けたら、もうずっと効果が持続するんですか?」というものがあります。
「短期間で再発することはまず滅多にありませんが、10年、15年という長いスパンで見た場合、絶対に再発しないとは言い切れません」ということです。これは、脱脂、ハムラ法、脂肪注入など、どのクマ治療にも共通して言えることです。
では、なぜ長期的に見ると再発の可能性があるのでしょうか?その鍵を握るのが、「眼窩周囲の加齢性変化」です。
加齢による骨格の変化がクマの再発に影響
皆さんは「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という言葉をご存じでしょうか?特に閉経後の女性に多く見られますが、加齢とともに手足の骨がスカスカになってくる病気です。実はこれ、手足だけでなく、頭蓋骨、特に目の周りの骨にも言えることなのです。
年を取ると、目の周りの骨(眼窩縁)が少しずつ痩せて、後退してきます。この骨格の変化が、クマの再発に大きく影響してくるのです。
- ・骨の後退と脂肪の見え方の変化:目の周りの骨が痩せて後退してくると、相対的に目の下の脂肪が目立つようになります。これは、脂肪そのものが増えるわけではありません。骨という土台が下がってしまうことで、以前からそこにあった脂肪が以前よりも「出ているように見える」という現象です。
- ・「雪崩」というより「屋根の雪」:よく「脂肪がドロドロと出てくる」というイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、むしろ「雪解け前の屋根に積もった雪が、屋根が少しずつ後退するにつれて、少しずつズルズルっと前に出てくるような雰囲気」の方が近いと言えるでしょう。急激に変化するのではなく、徐々に徐々に目立ってくるのが特徴です。
- ・頬の骨も影響:目の周りの骨だけでなく、頬骨(ほっぺたの骨)も加齢とともに後退します。これにより、さらに目の下の脂肪が目立ちやすくなることがあります。
再発時の対応と「永久的な効果」の限界
このように、クマ治療の効果は非常に高いものですが、人間の体は加齢とともに骨格も含めて変化していくため、「永久的に効果が持続する」とは断言できません。誰の骨がどれくらい後退するかは、個人差が大きく、見てみないと分からない部分です。
もし長期的に見てクマが再び目立ってきた場合は、その時の状況に応じて、再度の脂肪除去、ハムラ法による脂肪の移動、あるいは脂肪注入など、ケースバイケースで最適な治療法を検討していく必要があります。
まとめ
今回は、クマ治療に関する二つの重要な疑問について、構造とメカニズムを交えて解説しました。
- ①脱脂による上まぶたの凹み:基本的に脂肪が流れて凹むことはなく、非常に稀に眼球の位置変化によって生じる可能性がありますが、その場合は脂肪注入で改善が見込めます。
- ②クマ治療後の再発:短期的な再発は稀ですが、10年、15年といった長期スパンでは、加齢による眼窩周囲の骨格変化(骨が痩せて後退すること)によってクマが再び目立つ可能性があります。これは脂肪が増えるのではなく、土台の変化によるものであり、その際は状況に応じた再治療を検討する必要があります。
クマ治療は非常に満足度の高い治療ですが、ご自身の体の自然な変化を理解し、長期的な視点を持つことが重要です。ご自身の目の状態や加齢による変化については、ぜひクリニックで相談し、最適な治療計画を立ててください。