こんにちは！お茶の水美容形成クリニックでございます。

目の下のクマ治療は、患者様の抱える悩みの深さゆえに、美容医療の中でも特に注目される分野です。数ある治療法の中でも、近年人気が急増し、当院でも実施頻度が増えているのが、裏ハムラ法（経結膜的眼窩脂肪移動術）です。

この裏ハムラ法は、単に脂肪を除去する脱脂術とは異なり、目の下の構造的な問題にアプローチする画期的な手法です。今回は、裏ハムラ法の仕組み、適用、他の治療法との比較、そして実際の症例について徹底的に解説します。
（経結膜脱脂：下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。
料金：154,000円～※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用：腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷　等）

1. 裏ハムラ法とは？「脂肪移動術」のメカニズム

傷を残さない裏側からのアプローチ

裏ハムラ法は、手術の切開箇所が目の裏側、すなわち結膜（まぶたの粘膜）の部分であることに由来します。

表側の皮膚を切開する「表ハムラ法」とは異なり、裏ハムラ法では表側に傷跡が一切残らないのが大きな特徴です。
（表ハムラ：睫毛下を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させて、凹みのある個所に固定し直します。シワの原因となっている余剰皮膚も切除することで、シワの改善にも効果が期待できます。
料金：506,000円～※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用：腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷　等）

図形の平行移動のように脂肪を「ずらす」

裏ハムラ法は、海外では一般的に「眼窩脂肪移動術」と呼ばれています。従来の脱脂術が脂肪を「取る」のに対し、裏ハムラ法は、目の下の出っ張りの原因となっている脂肪を、へこんでいる部分へと「ずらして移動させる」ことが主な目的です。この動きは、図形の「平行移動」に例えられます。

この手術の鍵は、へこみの原因となっているリガメント（靭帯）の処理にあります。リガメントは皮膚の下から骨まで走る筋状のもので、これが食い込むことで目の下にへこみが生じます。裏ハムラ法では、このリガメント部分を剥離して浮かせるだけでなく、移動させた脂肪をその剥離した隙間に挟み込むことで充填します。これにより、再びリガメントが骨にくっついて（再癒着して）へこみが戻ってしまうのを防ぐことができます。

結果として、目の下の出っ張りが滑らかになり、へこんでいた部分も脂肪で満たされるため、脱脂に比べて目元全体がより滑らかに仕上がりやすいというメリットがあります。

2. 裏ハムラ法の適用：すべての人に万能ではない理由

裏ハムラ法は優劣ではなく、脱脂や脂肪注入と同様に一長一短があり、すべての方に100点満点の結果をもたらすわけではありません。当院では、目元の状態、ご要望、そして生活歴を総合的に考慮して最適な方法を提案します。

裏ハムラ法が特に推奨されるのは、以下のようなケースです。

 目元の状態による適用

①クマの範囲が目の下周辺に限定されている方: 裏ハムラ法は、目のすぐ下の出っ張りとへこみに焦点を当てています。ほっぺた（頬）の広範囲な痩せが目立たない方に適しており、頬の痩せが広い場合は脂肪注入が適応となります。

②色素沈着（茶クマなど）の程度が強い方: 色素沈着自体はクマ取り手術では改善に限界がありますが、色素沈着がある状態で脱脂を行い強くへこんでしまうと、その影が最も暗く見えてしまいます。裏ハムラ法でへこみ方を滑らかにしておくことで、暗くなりすぎるのを防ぐ効果が期待できます。

生活習慣やご要望による適用

①脂肪注入に抵抗がある方: 脂肪注入には、注入した脂肪が吸収されたり、硬いしこりができたりするリスクがあるため、脂肪注入を避けたい方には、自身の目の下の脂肪を移動させる裏ハムラ法が適しています。移動させた脂肪は血流が通っている部分であるため、なくなったり萎縮したりする心配がありません。

②喫煙歴や目を触る癖がある方: 喫煙は、脂肪注入の定着率を大きく低下させる要因です。また、本格的な水泳でゴーグルを頻繁に着用するなど、目を慢性的に押したり、こすったりする癖がある場合も、注入した脂肪が減少しやすい傾向があります。安定性の高い裏ハムラ法が推奨されます。

3. 他の治療法との比較

脱脂とのリスク比較

脱脂で脂肪を取りすぎると、へこみが気になった場合、基本的には脂肪注入でしか改善できず、そこから裏ハムラ法に切り替えることはできません。一方で、裏ハムラ法は、脱脂に比べて「脂肪が残ったように見える」リスクが若干高いという側面があります。しかし、へこみが気になるリスクは脱脂に比べて低くなる傾向にあります。

脂肪注入との同時実施の懸念

頬の痩せが広範囲にわたる場合は、脂肪注入が有効です。 裏ハムラ法と脂肪注入を同時に行うクリニックもありますが、裏ハムラによって広範囲の剥離を行うと、脂肪注入の利点である「広範囲に注入できること」を打ち消してしまう可能性があります。そのため、当院では、組み合わせる場合でも、裏ハムラ後の傷が落ち着いてから（術後3ヶ月程度経ってから）脂肪注入を分けて行うことを推奨することが多いです。 また、一部のクリニックなどで「何でもかんでも裏ハムラ＋注入」を勧めるケースがあるようですが、これは費用が高くなる傾向にあるため、慎重に検討すべきだとされています。

4. 裏ハムラ法のダウンタイムと特有のリスク

裏ハムラ法は、脱脂と比較して剥離範囲が広くなるため、一時的に突っ張り感や、感覚の鈍さ、目の違和感が続く可能性があります。これらは時間とともに徐々に回復します。

ダウンタイムについては個人差がありますが、術後2週間弱で腫れや内出血が目立たなくなる症例もあります。裏ハムラ法は、脂肪注入を伴う場合と異なり、移動させた脂肪の萎縮を心配しなくて良いため、術後約1ヶ月の状態をほとんど落ち着いた状態と見なすことが多いです。脂肪注入の場合は定着に3ヶ月程度かかります。

5. 症例解説

当院では、患者様のご要望やライフスタイルを考慮し、裏ハムラ法を提案しています。

症例1：30代女性（海外在住）

目の下の脂肪の出方が滑らかで、頬のへこみが目立たない状態でした。また、生活スタイルにより頻繁な通院が難しいという事情がありました。脂肪注入を含む治療の場合、定着率を見るために3ヶ月や6ヶ月後のチェックが推奨されますが、この時間確保が難しいため、術後1ヶ月で安定しやすい裏ハムラ法が選択されました。術後1ヶ月の時点で、目元はすっきりし、へこみも滑らかに解消されています。

症例2：20代前半女性（ダウンタイムの短さ）

この方は、元の状態として頬のへこみはややあるものの、裏ハムラをご希望されました。術後2週間弱の写真でも、腫れや内出血がそれほど目立たず、滑らかに整っていることが確認できます。脂肪移動だけでも目元が明るく見えています。もし術後3ヶ月経っても頬のへこみが気になる場合は、その後に脂肪注入を検討することが可能です。

症例3：40代女性（頬の構造）

この方は40代で、頬のへこみが少なく、むしろ前側のふくらみが保たれている方でした。目の下のクマの範囲が限定されていたため、裏ハムラ法のみで十分に対応できると判断されました。術後1ヶ月の時点で、目元はすっきりとし、へこみもほとんど解消されています。裏ハムラ：睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。
料金：396,000円～※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用：腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷　等

最後に

裏ハムラ法は優れた治療法ですが、他の脱脂や脂肪注入といった方法よりも断然良い、というわけではありません。一つ一つの手術には特徴、メリット、デメリットがあります。

クマ治療において最も重要なのは、患者様一人ひとりの目元の状態とご希望を丁寧にすり合わせ、最も適したオーダーメイドの治療法を見つけ出すことです。どの方法が良いか迷われている方は、ぜひ一度診察にお越しいただき、医師とじっくりご相談ください。

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