1. 裏ハムラとは? そのメカニズムと利点
まず、裏ハムラがどのような手術なのかを簡単に確認しておきましょう。 シンプルなクマ取り(脱脂)は、目のすぐ下の飛び出している脂肪を除去するシンプルな方法です。 (経結膜脱脂:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。 料金:154,000円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等) それに対し、裏ハムラは、突出した目の下の脂肪をただ取るだけでなく、脂肪をトリミングしつつ、基本的に目のすぐ下の凹んでいる部分(へこみ)に脂肪を固定して敷き込んでくる手技です。 (裏ハムラ:睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。 料金:396,000円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等) この際、凹みの原因となっているティアトラフのリガメント(靭帯)も処理し、脂肪を固定します。裏ハムラの最大の利点
裏ハムラのメリットは、脂肪を移動させて凹みに敷き込むことで、その下の食い込みや凹みを解消しながら、より滑らかでフラットな目元になりやすいという点にあります。2. 裏ハムラと脱脂+脂肪注入を分ける最も重要な基準
当院では、裏ハムラと脱脂+脂肪注入(脂肪注入を併用するクマ取り)を患者様の状態に合わせて使い分けていますが、最も大きな使い分けの基準としているのは、「頬(中顔面)のへこみがあるかどうか」という点です。頬のへこみがない場合:裏ハムラを推奨
頬のへこみが目立たない方の場合、裏ハムラが推奨されることが多くなります。 裏ハムラは、脱脂単体に比べて凹み方が滑らかになる傾向があるためです。40代で頬のやつれが少なく、小ジワも目立たない方には、裏ハムラを選択した症例があります。頬のへこみがある場合:脱脂+脂肪注入を推奨
目の下の脂肪が突出しているだけでなく、その下の頬がへこんでいる(中顔面が痩せている)方は、脂肪の突出とへこみのコントラストによって、余計にクマが目立って見えてしまいます。 このようなケースでは、裏ハムラで目の下の脂肪を移動させても、その脂肪が頬の広範囲のへこみにまで届きません。 そのため、脂肪注入で広範囲を補う方が手っ取り早く、効率が良いため、脱脂と脂肪注入の組み合わせが推奨されます。50代で頬のやつれがあり、小ジワも気にされていた方には、この脱脂+脂肪注入を選択しました。 (クマ取り&脂肪注入:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。大腿内側または腹部から脂肪を採取し、目の下/ゴルゴラインに注入しハリを出しシワの改善を行います。 料金:396,000円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)3. 笑った時の変化と小ジワへの対応
中顔面の形状以外にも、クマ治療の選択には専門的な基準が存在します。笑った時の食い込みへの対応
笑った時に目の下の靭帯(ティアトラフのリガメント)が強く食い込む方に対しては、その靭帯を処理して脂肪を敷き込む裏ハムラを選択することが多いという見解が示されています。裏ハムラは、笑った時の出っ張り(突出)を改善する効果が期待できます。 ただし、患者様自身の頻度としては、真顔の時の状態を気にされる方が大半で、笑った時の出っ張りを気にされる方は比較的少ない傾向にあります。小ジワへの対応
裏ハムラは凹みを改善しますが、小ジワを気にされる方や、術後に小ジワが増えることを懸念される方もいます。 脂肪注入は皮膚のすぐ下に注入を行うため、裏ハムラよりもわずかに皮膚にハリを出す効果が期待できます。そのため、切るほどではないが小ジワが気になる、というレベルの方であれば、裏ハムラではなく脱脂と脂肪注入が推奨されることがあります。 ただし、最も小ジワに効果的なのは、物理的に皮膚を切除し引っ張る切開のハムラ(表ハムラ)であることは留意が必要です。切らない方法(裏ハムラや脱脂+脂肪注入)は、小ジワを最小限に留めることを目指します。 (表ハムラ:睫毛下を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させて、凹みのある個所に固定し直します。シワの原因となっている余剰皮膚も切除することで、シワの改善にも効果が期待できます。 料金:506,000円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)4. ライフスタイルによる判断基準
クマ治療の選択において、解剖学的な条件だけでなく、患者さんの生活スタイルも重要な判断基準となります。特に脱脂+脂肪注入は、注入した脂肪の定着率に個人差があるため、この定着率に悪影響を与える習慣がある場合は、裏ハムラが選択肢に入ってきます。喫煙習慣
タバコを吸っている方は、一般的に脂肪注入をしても、脂肪が定着せずに吸収されやすくなる傾向があります。そのため、喫煙されている方には、脂肪注入を伴わない裏ハムラを推奨することがあります。目元への圧迫や刺激
目元に習慣的に刺激を与えたり、揉んだり、圧力を加えたりする生活習慣がある場合も、注入脂肪が潰れたり、流れやすくなったりするリスクがあります。 具体的には、本格的に水泳をされており、ゴーグルで目元を圧迫する方などです。このような習慣があり、それを止められないという方の場合、脂肪の定着が不安定になるリスクを避けるために、裏ハムラが推奨されることがあります。5. 症例による使い分けの具体例
実際に当院で裏ハムラと脱脂+脂肪注入を選択した二つの症例を比較してみましょう。これらは比較的年代が近い方々です。症例1:40代(裏ハムラを選択)
裏ハムラを選択したこの40代の方は、頬(中顔面)のやつれが少ないという形状でした。小ジワも目立たない状態であったため、裏ハムラで突出した脂肪を凹みに敷き込むだけで、十分な改善が得られると判断されました。
症例2:50代前半(脱脂+脂肪注入を選択)
脱脂+脂肪注入を選択したこの50代の方は、頬のやつれがある状態でした。この中顔面の痩せがあることで、クマが余計に目立っていました。さらに50代であるため、小ジワが少しずつ出てきており、これ以上悪化するのを避けたいという要望もありました。そのため、広範囲のへこみを補い、わずかながら皮膚のハリも期待できる脱脂+脂肪注入が選択されました。
5. まとめと診察の重要性
裏ハムラに向いている人、そうでない人、そして脱脂と脂肪注入を組み合わせるべき人の判断基準は、主に以下のポイントに集約されます。治療法 | 推奨される主な条件 | その他考慮すべき点 | |
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裏ハムラ | 頬のへこみ(中顔面のやつれ)が少ない方 | 喫煙や目元への圧迫など、脂肪注入の定着を妨げる習慣がある方。笑った時の食い込みが気になる方。 | |
脱脂+脂肪注入 | 頬のへこみ(中顔面のやつれ)がある方 | 小ジワをわずかでも改善したい方(ハリを期待する)。広範囲の凹みを効率良く埋めたい方。 |
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