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導入:ダウンタイムの過ごし方が結果を左右する
こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
近年、目の下のクマ治療は、疲れた印象や老けた印象を解消し、若々しい目元を取り戻す美容整形として非常に人気が高まっています。しかし、手術が成功しても、その効果を最大限に引き出し、スムーズに日常生活に復帰するためには、術後のダウンタイムの過ごし方が極めて重要になります。
「クマ治療後のダウンタイムをどう過ごせば良いか」というご質問をよくいただきますが、実は、冷やすことの重要性は一般的に思われているほど高くありません。それよりも、腫れや内出血を抑え、早期回復を実現するために、意識して守るべき3つの重要なポイントがあります。
ダウンタイムを極力早く収束させるために医師が推奨する具体的な行動指針について、詳細に解説します。これからクマ治療をご検討中の方も、ぜひ参考にしてください。
秘訣1:心臓より「頭の位置」を高く保つことの徹底
クマ治療後のダウンタイムを管理する上で、「一番大事なこと」として強調するのは、「頭の位置を高く保っておくこと」です。
これは、メスを使う切る手術である表ハムラのようなケースだけでなく、単なるクマ取り(脱脂)であっても共通する原則です。
(表ハムラ:睫毛下を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させて、凹みのある個所に固定し直します。シワの原因となっている余剰皮膚も切除することで、シワの改善にも効果が期待できます。
料金:451,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
(経結膜脱脂:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。
料金:154,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
血液の滞留を防ぐための体勢管理
手術直後、施術部位に血液や体液が集中しすぎると、腫れや内出血が悪化しやすくなります。このリスクを最小限に抑えるためには、頭を常に心臓よりも高い位置に保つことが必須です。
日中は、座っている時間や立っている時間を意識的に長めに取るようにしてください。重力に逆らうことで、顔面への血流をコントロールし、むくみの発生を抑えることができます。
睡眠時の絶対的な注意点
最も注意が必要なのは、睡眠時です。寝ている間に体位が悪くなると、一気に内出血や腫れが強く出てしまう可能性があります。
①仰向け寝を徹底する:寝る時は極力、仰向けで寝てください。
②枕で高さを確保する:枕を重ねるなどして、頭の位置を高く保てるように工夫することが最も大切です。
③うつ伏せは厳禁:うつ伏せになってしまうと、内出血が顔の表側に出やすくなるため、絶対に避けてください。
④片側への傾きに注意:わずかな寝返りは問題ありませんが、長時間、右側や左側に傾いたまま寝ていると、その傾いた側の顔にむくみが溜まってしまう可能性があります。常にバランスの取れた仰向け姿勢を意識しましょう。
心臓よりも高い位置に頭を維持することで、血流をコントロールし、早期の腫れ引きを促します。
秘訣2:施術部位に「触れること」を1ヶ月間制限する
ダウンタイムの回復には、傷口や施術した組織にストレスを与えないことが非常に重要です。数日間から1ヶ月程度は、意識して顔や施術部位を触らないようにすることが大切です。
触らないことが脂肪定着と後戻りを防ぐ
特に注意が必要なのは、脂肪注入を組み合わせた場合や、クマの原因である脂肪を目の下の凹んだ部分に移動させて固定するハムラ法などの手術を受けた場合です。
①糸の保護:ハムラ法などでは、移動させた脂肪を新しい位置に固定するために糸で縛ってあります。
②摩擦による影響:術後に傷口が治りかけて痒くなった際などに、ゴシゴシと強く掻いたり、摩擦を加えたりすると、固定している糸が切れたり、緩んだりして、固定した脂肪が元の位置に戻ってしまう(後戻り)リスクがあります。
③脂肪定着率の低下:脂肪注入を行っている場合、注入された脂肪細胞は非常にデリケートです。強く擦ることで、脂肪が潰れたり、圧迫により意図しない場所に流れたりすることがあります。これにより、せっかく注入した脂肪の定着率が低下してしまう可能性があります。
ダウンタイムは通常、術後10日程度で大きく改善しますが、組織の安定化には時間を要します。脂肪注入やハムラ法を受けた方は、術後1ヶ月程度は意識して顔を強くこすったり触ったりしないように心がけることが、手術効果を維持するために非常に大切です。
(クマ取り&脂肪注入:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。大腿内側または腹部から脂肪を採取し、目の下/ゴルゴラインに注入しハリを出しシワの改善を行います。
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
秘訣3:血流が良くなる「行為や食事」を最低1週間制限する
ダウンタイムの初期(特に術後最初の1週間)は、血流が良くなるような行為を行うと、患部の腫れが増強され、回復が遅れてしまう可能性があります。
この期間は、血行を促進する行動を極力避ける必要があります。
制限すべき行動
①アルコールの摂取:飲酒は全身の血流を良くし、腫れを長引かせます。
②長時間の入浴:湯船に長時間浸かり、体が温まりすぎる行為(長風呂)は避けてください。シャワーのみで済ませるのが安全です。
③重労働や力む行為:重いものを持ったり、顔に「グーッ」と力が入るような行為は、血圧を上げ、腫れを悪化させる可能性があるため、最低限に留めるべきです。
これらは、最低でも術後1週間は控えることが推奨されます。
むくみを避けるための食事管理
血流の促進とは別に、体内の水分バランスを乱し、むくみを強くするような食事にも注意が必要です。
・極端に辛い食べ物の摂取は避ける。
・大量の塩分を摂取すると、体が水分を溜め込みやすくなり、結果的に腫れが長引きやすくなります。
術後1週間は、刺激物や塩分を控えめにした食事を心がけましょう。
【補足】冷やす・温めるの正しい考え方と圧迫の要否
冷温ケアは塩梅が難しい
冒頭で触れた通り、「冷やす」ことはダウンタイム管理において最も重要な要素ではありません。
もし冷やすのであれば、腫れが最も出やすい最初の2日間程度、時間がある時に軽く冷やす程度が良いとされています。
むしろ、術後3日目以降は、軽く温めること(血が登るほど極端ではない、血流を少し良くする程度)が、内出血や体液の排泄を促し、回復に役立つ場合があります。
しかし、冷やしすぎたり、温めすぎたりすると、かえってむくみやすくなるというリスクもあります。その「塩梅(加減)」が非常に分かりにくいと感じる方も多いため、無理に意識して冷やしたり温めたりして加減を間違えるくらいなら、何もしない方が良いという判断もあります。
圧迫は手術方法で判断する
腫れを早く引かせる手段として「圧迫」がありますが、これは手術の種類によって適否が分かれます。
①ハムラ系手術(切開ハムラ、裏ハムラなど)の場合:圧迫した方が良いとされています。これらの手術は組織の剥離範囲が広いため、術後にしっかりと圧迫することで、傷がより強固にくっつきやすくなります。また、後戻りの防止にも繋がり、さらに腫れを抑えつけることで回復も早まります。できる限り術後1週間程度は圧迫を続けることが推奨されます。
②脂肪注入を組み合わせた場合:圧迫はしない方が良いです。圧迫によって注入された脂肪が圧力を受け、潰れたり、意図しない場所に流れたりするリスクがあるからです。
③ハムラ法に脂肪注入を組み合わせた場合:この複合手術の場合、判断が複雑になりますが、注入した脂肪の定着を優先し、極力圧迫はしない方が良いと考えられます。
(裏ハムラ:睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
まとめ
クマ治療後のダウンタイムを成功させるためには、手術の傷を早く治すだけでなく、組織の定着を促し、腫れやむくみをコントロールすることが不可欠です。頭の位置を高く保つ、施術部位を触らない、そして血流を良くする行為を制限するという3つの原則を徹底して守ってください。
また、ご自身が受けられた手術の内容(特に脂肪注入やハムラ法の有無)に応じて、冷温ケアや圧迫の要否を正しく判断することが、早期回復の鍵となります。
クマ治療のダウンタイムについて、医師が実際に体験した詳細な記録動画も参考に、万全の準備で臨んでください。
これらの情報が、皆様のクマ治療成功の一助となれば幸いです。