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PRP+FGF治療の危険性とその背景にある問題点:美容医療の現場で何が起きているのか?

こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
近年、美容医療の分野では多種多様な施術が提供されていますが、中にはその安全性やリスクについて十分な情報共有がなされていないケースも存在します。特に「PRP+FGF」と呼ばれる治療法は、効果の高さが期待される一方で、深刻な副作用のリスクを抱えていることが指摘されており、最近では裁判にまで発展する事例も出ています。今回は、このPRP+FGF治療が抱える問題点、そして患者さんが知っておくべきリスクについて詳しく解説します。

裁判沙汰となった大手クリニックの事例

今年1月、SNS(X)で大きな話題となったのは、某大手美容クリニックPRPにFGFを添加した「プレミアムPRP注射」について、患者様への説明不足等を理由とし、東京地方裁判所が解決金として600万円から700万円程度の支払いを命じる決定をしたことが明らかになったことです。この決定は、単にリスクの説明が不足していただけでなく、業界が推奨しない治療方法を行ったことにも重い意味を持つと考えられています
本事例は、美容医療における「PRP」と「PRP+FGF」の違い、そしてリスク説明の重要性を改めて浮き彫りにしたと考えられます

PRPとPRP+FGF、その決定的な違いとは?

まず、PRPとPRP+FGFは、名称が似ていますが、その効果やリスクは大きく異なります。

PRP(多血小板血漿)単体注射の特性

PRP(Platelet-Rich Plasma)は、患者さん自身の血液を採取し、遠心分離にかけることで得られる血小板を濃縮した液体です。このPRPには、抗炎症効果があることがよく知られています
美容医療では、肌に注射することで小じわの改善や肌質改善、ダーマペン後の塗り込み、手術後のダウンタイム軽減などに使われることがあります。また、スポーツ医療の分野では、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大選手が肘の痛みでPRP注射を受けたことでも有名で、炎症のある箇所や痛めた箇所に直接注射することで炎症を和らげる効果が期待されます
PRP単体での効果は、複数回の施術で徐々に効果が現れる傾向があり、個人差も大きいです。PRP注射は一度あたりの費用が比較的高いため、当院としてはコストパフォーマンスの点で検討の余地があると考えています

PRP+FGF(線維芽細胞増殖因子)注射の特性とリスク

一方で、「PRP+FGF」は、このPRPにFGF(Fibroblast Growth Factor:線維芽細胞増殖因子)細胞を増殖させる作用を持つ因子組み合わせたものです。液体にしてスプレーとして火傷などで皮膚が失われた部位に適用すると、皮膚の再生を促すといった形成外科領域で使われることがあります
美容医療において、このFGFを少量PRPに混ぜて注入すると、ヒアルロン酸などの注入剤と同様に、組織を膨らませる効果が期待されます。例えば、こめかみのくぼみ、目の下のへこみ、ほうれい線などに注射することで、組織が膨らんで溝が浅くなり、しわが改善されるとされています。かつては「プルプル注射」という名称で流行した時期もありました
しかし、FGFの最大のデメリットは、注入した部分の細胞を増殖させるため、その増殖が止まらなくなったり、しこりとして残ったりするリスクがあることです

PRP+FGFのメリットと深刻なデメリット

PRP+FGFには、魅力的なメリットと、非常に深刻なデメリットが存在します。

メリット:即効性と長期持続性

PRP+FGFのメリットは、注入がうまくいけばヒアルロン酸などの他の注入剤に比べて非常に持続期間が長いという点です。ほうれい線の付け根など、ある程度のしこりが許容され、しっかり長持ちさせたい部位には向いているとされることもあります

デメリット:増殖するしこり、除去の困難さ

最も深刻なデメリットは、やはり「しこり」の形成です。特に目の下のようなデリケートな部位にしこりができてしまうと、触れるとコリコリとした感触があり、患者にとって大きな悩みとなります
しこりができた場合、ステロイド注射で小さくしたり、外科的に除去したりする試みも可能ですが、最も厄介なのは、一度できたしこりが増殖を続けてしまうケースです。実際に、目の下のしこりがどんどん膨らんでくる方や、豊胸手術の際にFGFを混ぜた結果、アニメのキャラクターのような不自然な胸の膨らみが止まらなくなり、修正目的で当院を訪れる方もいらっしゃいます
さらに厄介なのは、しこりが他の組織と同化してしまい、エコーなどで見てもどこまでがしこりか区別がつかなくなり、切除や減量も不可能になってしまう場合があることです。このような状態に陥ると、どうすることもできなくなるという、極めて深刻な事態を招く可能性があります
FGF製剤の添付文書自体にも、「FGF注射の安全性は担保できません」と明記されているにも関わらず、未だにPRP+FGFを治療に取り入れているクリニックや医師が存在するという現状があります

二つの問題点

今回の某大手美容クリニックに対する東京地方裁判所の決定には、大きく分けて二つの問題点が背景にあるとされています

1. 業界で推奨されない治療方法の継続

PRP+FGF、特にプルプル注射として流行した過去には、しこりの副作用が多発し、多くのクリニックがこの治療法から撤退しました。FGFの濃度調整が確立されていなかった昔は、しこりができやすい状況でしたが、現在では濃度を薄めるなどしてリスク軽減の努力がされているにも関わらず、依然として問題が発生しています。学会や添付文書、業界全体でPRP+FGF治療は推奨されていないにも関わらず、未だにこの治療法を提供し続けているクリニックが存在するという事実が、問題視されています

2. リスク説明の決定的な不足

患者さんが治療を受ける際に、その内容とリスクについて十分に理解することは、美容医療における基本中の基本です。今回の裁判では、「プレミアムPRP注射」という名称が、患者に「PRPの良いもの」という誤解を与え、FGFによるしこりのリスクやその他の副作用について、医師からの説明が不足していたことが大きな問題となりました
クリニックは、PRPとPRP+FGFが全く異なる治療法であり、FGFが細胞増殖によってしこりのリスクを伴うことを、患者に明確に伝えなければなりません。さらに、口頭での説明だけでなく、手術の同意書やクリニックのウェブサイトにも、そのリスクを明記する必要があります

みなさまが美容医療を受ける際に注意すべきこと

今回の事例は、美容医療を受ける患者さんにとって重要な教訓を与えています。
PRP+FGF治療は、全てのケースで「絶対に使ってはいけない」と断言できるものではないかもしれません。医師やクリニックによって治療に対する考え方は様々で、「リスクは低いから、決まった時に綺麗に仕上がるなら使っても良い」と考える医師もいます。しかし、「どうしようもなくなってしまう」ようなリスクが存在する治療法については、慎重に検討すべきだという意見もあります

まとめ

美容医療を検討する際は、以下の点に特に注意しましょう。

治療内容の確認

施術名だけでなく、具体的に何が注入されるのか、その成分がどのような作用を持つのかを詳しく尋ねましょう。特に「PRP」と付いていても、FGFが添加されていないかを必ず確認してください

リスクと副作用の説明

期待できる効果だけでなく、しこりやその他の副作用、その発生頻度、対処法についても、納得できるまで説明を求めましょう

同意書の確認

治療内容やリスクが、同意書に具体的に記載されているかを必ず確認し、理解した上で署名しましょう

クリニックや医師の選定

業界内で推奨されている治療法を提供しているか、リスクについて誠実に説明してくれるかなど、信頼できるクリニックや医師を選ぶことが重要です。
美容医療は、自身の容姿を改善し、自信を持つための有効な手段となり得ますが、そのためには正しい知識と情報に基づいた慎重な選択が不可欠です。今回の事例から学び、安全な美容医療の実現に向けた意識を高めていきましょう。
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このブログ記事が、PRP+FGF治療に関する皆様の理解を深め、今後の美容医療選択の一助となれば幸いです。
吉井医師のご紹介について、詳しくはこちらをご覧ください:https://www.ochanomizubiyou.com/staff.html
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日付: 2025年9月4日   カテゴリ:形成外科手術

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