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こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
近年、美容医療の一般化や、ダウンタイムを極力抑えたいというニーズの高まりに伴い、糸リフト(スレッドリフト)の需要が急増しています。最近の美容医療の調査では、埋没法に代わり、ついに糸リフトが美容手術の人気ナンバーワンに逆転したという結果も出ています。
糸リフトは、単に顔の輪郭を「ぐっと変える」というよりも、アンチエイジング、特なたるみ治療として人気を博しています。しかし、市場には非常に多くの種類の糸リフトが出回っており、患者様ご自身で「どれを選べばいいのか」を判断するのは難しいのが現状です。
本記事では、糸リフトを分類する基本的な考え方、主流となっている糸の特徴、そして患者様ご自身に合った糸を選ぶためのポイントを、専門的な視点から徹底解説します。
リスク・副作用:内出血、腫れ、疼痛、ひきつれ、ツッパリ感、感染、左右差、凸凹等
💡 糸リフトの基本的な分類と選び方
糸リフトは、主に以下の3つの視点から分類し、理解することができます。
1.溶けるか溶けないか(素材が体内に残るか)
2.素材の違い(溶けるまでの期間)
3.形状の違い(引き上げのメカニズム)
まずは、最も重要である「溶けるか溶けないか」から見ていきましょう。
1. 最重要ポイント:溶ける糸を選ぶべき理由 🛡️
現在の美容医療において、糸リフトで主流となっているのは、ほとんどが溶ける糸です。当院が導入しているミントリフトやテスリフトも溶ける糸に分類されます。
溶けない糸(例:金の糸、エラスティカムスレッドなど)のリスク
溶けない糸のメリットとしては、引っ張る力の強さや、永久的に体内に残ると言われていた点が挙げられますが、デメリットやリスクが非常に大きいため、現在は推奨されていません。
・効果の持続と異物反応:永久に残っていても、引っ張る力や効果は時間とともに弱くなります。効果がないのに糸が残り続けることは、体にとって大きな異物(異物反応)を引き起こす可能性があります。
・感染リスクの長期化:溶けない糸は感染を起こしたり、異物反応を起こしたりするトラブルの報告があります。溶けないため、もし感染が起きた場合、糸が原因で長期的に細菌がくすぶり続けることになります。
・将来の手術への影響:溶けない糸の周りでは異物反応が常に起こり、組織が癒着して硬くなるため、将来的にフェイスリフトなどの手術を行う際に、剥離が難しくなり、手術自体がやりにくくなる可能性があります。
以上の理由から、繰り返し施術が必要になったとしても、溶ける糸を選ぶことが、トラブルを避ける上で極めて重要であるとされています。
2. 溶ける糸の素材と溶解期間の目安 ⏱️
溶ける糸に使われる素材はいくつかありますが、一般的にはPDO、PLA、PCLの3種類が多いです。これらの素材の主な違いは、体内で溶けてなくなるまでの期間です。
| 素材 | 溶解までの期間(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| PDO (ポリジオキサノン) | 約1年 | 比較的短く溶け、何かあった際にも安全性が高い。初心者にも推奨され、最もよく使われる素材。テスリフトに採用されている。 |
| PLA (ポリ乳酸) | 約2年 | PDOより長持ちする傾向。 |
| PCL (ポリカプロラクトン) | 約3年 | 最も長持ちする傾向。ミントリフトはPCLとPLLAの複合素材を使用している。 |
3. 形状による効果の違い(引き上げ vs. 引き締め) ⚙️
糸リフトの効果は、「引っ張る力(引き上げ)」と「溶けていく過程で起こる瘢痕拘縮(引き締め)」の2点に集約されます。
糸の形状は、主にモノスレッド、コグ、メッシュの3つに分けられ、どの効果を重視するかで使い分けられます。
1. モノスレッド(ショッピングリフト)
・形状:ギザギザやメッシュがない、ただの1本の線。
・主な効果:引き上げる力は一切なく、糸が溶ける際にその周囲に反痕組織ができ、それにより皮膚が引き締まる(瘢痕拘縮)ことを利用します。
・適応:たるみというよりも、皮膚のハリ出しや引き締めがメイン。引っ張る方向だけでなく、直角方向など多方向に入れて、全方位の引き締めを目指すことができる(格子状に入れる)。コストパフォーマンスの良い引き締め治療です。
2. コグ(バーブ/ギザギザ付き)
・形状:組織に引っかかるためのギザギザ(コグ)が付いている。
・主な効果:引っ張り上げる力が強く、直後から「ぐっと引き上がった」という実感を得やすい。
・適応:強い引き上げ効果を求める場合。ミントリフトはこれに分類されます。
3. メッシュ(網目状)
・形状:糸が網目状になっている。
・主な効果:糸が線で溶けるだけでなく、メッシュ構造により、より強く広範囲に瘢痕治癒を起こし、引き締め効果を高めることを目指す。
・適応:じわじわとしたアンチエイジング効果、現状維持やたるみ予防を重視する場合。テスリフトはこれに分類されます。
⚖️ 主流な糸リフトの比較:ミントリフト vs. テスリフト
当院でも採用されているミントリフトとテスリフトは、それぞれ「コグ」と「メッシュ」という異なる形状の代表格であり、使用感や適応に違いがあります。
| 比較項目 | ミントリフト(Cog/PCL・PLLA) | テスリフト(Mesh/PDO) |
|---|---|---|
| 形状 | コグ(ギザギザ) | メッシュ(網目状) |
| 素材 | PCL/PLLA(長持ちする傾向) | PDO(比較的短期間で溶ける) |
| 主な効果 | 強い引き上げ(リフトアップ) | 引き締め・タイトニング、馴染みやすさ |
| 糸の硬さ | 硬い | しなやかで柔らかい |
| 適応層 | 顔の組織(お肉、皮膚)が分厚く、しっかり引き上げたい方。 | 組織が薄い方、違和感を避けたい方。キュッとタイトにしたい方。 |
| 欠点 | 皮膚が薄いと、触ったときにポリポリとした異物感や、ポコッとした隆起を感じる場合がある。硬いため、違和感が長引きやすい。 | 直後の強い引き上がり感はミントリフトに劣る場合がある。 |
患者様による選び方のヒント 💡
最終的にどちらを選ぶかは、患者様の組織の厚さと、求める効果によって使い分けられます。
・「直後からぐっと引き上げたい」「たるみを強く改善したい」 → コグタイプ(ミントリフトなど)が向いています。
例えるなら、 硬いワイヤーでしっかり土台を持ち上げる建築工事のようなイメージです。
・「じわじわとアンチエイジングしたい」「今の現状を保ちたい」「自然なタイト感が欲しい」 →メッシュタイプ(テスリフトなど)が向いています。
結びに:ドクターとの相談が成功の鍵
糸リフトの選び方は多岐にわたりますが、まずは「溶ける糸」を選ぶことが大原則です。その上で、どのくらいの期間効果が欲しいか(素材)、そして引き上げたいのか、引き締めたいのか(形状)によって、最適な糸の選択肢が変わってきます。
ミントリフトとテスリフトのように、長年にわたり主流として生き残っている糸には、それぞれ確固たる強みがあります。
同じクリニック内でも、ドクターの経験や考え方(やり用や按配)によって、どちらの糸を中心に使うかという方針は少しずつ異なります。患者様ご自身が「引き上げたい」「引き締めたい」といった具体的なご要望を医師に伝え、担当するドクターと相談しながら、ご自身の顔の組織量や目標に最も適した糸を選んでいくことが、糸リフトを成功させるための鍵となります。
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