こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
近年、美容医療は目覚ましい普及を見せています。特に美容皮膚科領域の治療は、身近になったこともあり、美容初心者の方でも試されやすい傾向にあります。しかし、その手軽さとは裏腹に、非常に効果的な治療方法であっても、やり方によっては肌を破壊してしまうリスクを秘めています。
「この治療を受けてから、かえって肌の調子がおかしい」「ブツブツができてしまった」「シミが濃くなってしまった」—こうした後悔の声も少なくありません。美容医療において最も重要なのは、「物(治療法)は使いよう」という原則であり、患者さん一人ひとりの「適用」に合わせて治療を進めることが不可欠なのです。
今回は、肌を悪化させかねない美容皮膚科治療の「真実」について、特に注意すべき二大ポイントを中心に、深く掘り下げて解説します。
1. 診断が難しい「シミ治療」の落とし穴
多くのクリニックで最も多い美容皮膚科の治療はシミ治療であり、その次にたるみ治療が続きます。しかし、一見シンプルなシミ治療には、奥深い診断の難しさが潜んでいます。
肝斑の誤診が招くトラブル
シミ治療において、肝斑の有無を正しく診断することは極めて重要なポイントとなります。肝斑は刺激に弱く、強いレーザーを当てると悪化しやすい特性があるためです。
【弱すぎる治療による時間の浪費 】
一部のクリニックでは、トラブルを避けるために「取り返しのつかないことはしない」という安全策を取りがちです。そのため、少しでも肝斑の疑いがある、あるいは担当ドクターが診断に迷った場合、とりあえず「肝斑の疑いがありますね」として、弱い治療法(トーニング、フォトフェイシャル、ケアシスなど)や内服薬(トラネキサム酸、ビタミンC)で様子を見る方針をとることが多くなります。 しかし、これが単に濃いシミである場合、弱い治療法を続けても一向に効果が出ず、一年経っても濃いシミが残ったままという状態になりかねません。
(トーニング:低出力のレーザーをピコ秒という短い時間で照射する治療です。薄いしみ・くすみ・トーンアップ・肝斑治療等に効果的です。
料金:7,700円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:色素沈着、色素脱失、シミの取り残し・再発、炎症、肝斑の増悪、熱傷等)
(フォトフェイシャル:IPL(Intense Pulsed Light)という光をお顔全体に照射することで、シミ、くすみ、赤ら顔、小じわ、毛穴開き等を改善する治療です。お悩みに応じてフェルターを選択します。
料金:13,750円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:紅斑、腫れ、色素沈着、色素脱失、痒み、毛包周囲の赤み、紫斑、熱傷、肝斑の悪化)
(ケアシス:シミ・くすみ・小じわ等のお悩みに神経幹細胞から抽出された高機能ペプチド美容液を導入する治療です。
料金:4,400円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:赤み、かぶれ、色素沈着等)
【強すぎるレーザーによるシミの悪化】
逆に、肝斑の診断を全くせず、あるいは診断を無視して強いレーザー(ピコスポットやQスイッチヤグレーザーのような、ピンポイントで火傷を起こすスポット照射)を照射してしまうと、シミが数カ月間にわたって逆に濃くなってしまうという事態が発生します。
肝斑の有無の診断が、シミ治療の成否を分けるポイントとなるのです。
(ピコスポット:シミ・アザ等の色素性病変に対して、部分的にレーザーを照射する治療です。
料金:2,200円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:色素沈着、色素脱失、シミの取り残し・再発、炎症、肝斑の増悪、熱傷等)
濃いシミを早く消すための判断の難しさ
トーニングやフォトフェイシャルといった治療は肌質改善の効果はありますが、ピンポイントの濃いシミは、それらを継続してもなかなか消えずに残り続けるケースが多々あります。こうした場合、適切なタイミングでピコスポットやQスイッチレーザーなどのピンポイントで高出力のレーザーを照射することで、早く改善し、消えていくことが期待できます。※治療効果には個人差があります
どのシミに強くアプローチして良いかを判断できないと、最も気になる濃いシミが放置されたままになりがちです。
専門的なクリニックであっても、肝斑の上に通常のシミが乗っているなど、判断が難しい患者さんもいらっしゃいます。そのような場合、ドクターは部分的に照射して反応を観察し、経過をみて問題なさそうなら全体に広げる、万が一濃くなる反応が見られたらそれ以上は打たずにトーニングなどの別の治療方法へ切り替える、というように、様子を見つつ、的確な判断が求められます。
シミ治療は美容医療の入門とされますが、実際は診断の奥が深い分野であり、経過をしっかりと見てくれる専門性の高いドクターの元で治療を受けることが最も安全な道と言えます。
2. 肌質(乾燥肌・脂性肌)の見落としがもたらす悲劇
美容医療では、シミやくすみといった目に見える悩みにばかり注目が集まりがちですが、意外に多くのクリニックで見落とされがちなのが、患者さんの「肌質の側面」です。特に乾燥肌や脂性肌といった基本的な肌質は、治療方針を決定する上で非常に重要です。
乾燥肌と攻撃的治療の危険な組み合わせ
レーザー治療や毛穴治療、ニキビ跡治療の中には、肌に直接的なダメージを与え、乾燥を強く引き起こしやすいものが多くあります。代表的なものとして、ダーマペン、ポテンツァ、フラクショナルレーザーといった治療が挙げられます。
ポテンツァやダーマペンは、肌に針を刺して傷をつけることで治癒を促す治療法です。特にポテンツァは、熱を用いて組織を固めたり焼いたりするプロセスが加わるため、皮脂腺にも影響を与え、乾燥を助長しやすくなります。
乾燥肌の人がこれらの治療を受けるだけ受けて、その後のケアを怠るとどうなるでしょうか。 結果として、肌は乾燥しすぎた状態になり、逆にニキビが多発したり、肌質が悪化したり、「ニキビができまくってシミみたいになった」という話のように、元よりも肌質が悪化してしまうというケースが実際に発生しています。
また、マイクロボトックスなどの注射系の治療も注意が必要です。ボトックスには汗を止める効果もあるため、乾燥肌の上で汗や皮脂の分泌が止まってしまうと、余計に乾燥がひどくなるという側面があります。
(ダーマペン:皮膚に無数の細かい穴を開けることで、体本来のもつ傷を治そうとする再生力を利用して肌質を改善させる治療です。肌の弾力が増し肌質を改善されます。
料金:22,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:色素沈着、感染、皮下出血、瘢痕形成、紫斑、肝斑の悪化等)
(ポテンツァ:表皮に熱損傷を起こすことなく、真皮層に直接熱エネルギーを与え、皮膚のコラーゲン産生を促すことで、お肌の再生していく治療です。
料金:39,600円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:発赤、腫脹、内出血、熱感、アレルギー、毛嚢炎、瘡蓋、感染、色素沈着、肝斑悪化等)
(ピコフラクショナルレーザー:お顔全体にレーザーをフラクショナル照射することで、シワや毛穴、ニキビ痕の改善に効果的です。
料金:8,800円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:色素沈着、色素脱失、シミの取り残し・再発、炎症、肝斑の増悪、熱傷等)
(マイクロボトックス:神経からアセチルコリンが出るのを抑え、筋肉の過剰な動きや過剰な発汗をわらげる治療です。
料金:44,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:疼痛、腫れ、内出血、アレルギー、表情に違和感、脱力感、めまい、視力低下、表情の左右差、眼瞼下垂、注射部の内出血、そう痒感等)
治療の適応と保湿系の組み合わせ
ドクターは、患者さんの肌質をしっかりと診察し、乾燥しやすい方には特定の治療方法を避ける、あるいは工夫する必要があります。
例えば、小ジワや毛穴の治療において、フラクショナルレーザーが効果的だと判断される場合でも、乾燥のリスクが高いようであれば、保湿系の治療を必ず組み合わせることが大切です。 具体的には、肌のハリやモチモチ感を出す注入系治療(リジュランなど)や、イオン導入、エレクトロポレーションなどで肌表面を整えるケアを組み合わせることで、治療による乾燥を予防し、肌質悪化を防ぐのです。
(リジュラン:注射器を用いて注入します。 加齢に伴う組織量の不足を補う、シワ等に直接もしくは周囲に注入すること等で、症状を改善させる効果を期待します。
料金:44,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:痛み、腫れ、赤み、感染、アレルギー、皮膚の血行障害、視力障害等)
活動性ニキビがある場合のニキビ跡治療
もう一つ、肌質との関連で注意が必要なのは、活動性のニキビ(炎症中のニキビ)がある状態でのニキビ跡治療です。
ニキビ跡治療(ダーマペンやポテンツァなど)は、肌を傷つけて治癒を促す治療法であるため、活動性のニキビがある部位に多数の細かい穴が開いたり、乾燥したりすると、かえってニキビが増えるという結果を招きかねません。ニキビ治療が必要な方に対して、安易にニキビ跡治療を行うのは適切ではありません。まずはニキビを治し、その後に跡の治療を行うべきです。
まとめ
美容医療の治療方法は、ドクターの診断次第で、非常に効果的なものから、非常に逆効果な「最悪の治療方法」へと変化してしまいます。
シミ治療の奥深さ、そして乾燥肌や脂性肌といった患者さんの土台となる肌質を考慮に入れない治療決定が、肌を破壊する原因となり得ます。
これから美容医療を検討される方は、自身の肌質が乾燥肌か、脂性肌かといった側面をしっかり把握し、また、シミ治療においては、安易な診断ではなく、ドクターが経過を丁寧に見ながら治療方針を考えてくれるクリニックを選ぶことが、後悔しないための最大の防衛策となるでしょう。
詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/treatment.html
