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こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
近年、美容医療、特に目の下のクマ治療(脱脂術)に関する情報がSNS上で大きな話題となり、時には議論を呼んでいます。特にご高齢の患者様の治療例が取り上げられた際、その術後経過について「失敗ではないか」といった懸念の声が上がることも少なくありません。
最近SNSで注目を集めた70代女性のクマ治療(脱脂)の事例を参考に、高齢者におけるクマ治療特有の課題、考えられるリスク、適切な治療選択の重要性について、解説します。
1. SNSで話題となった「術直後」の評価と注意点
X(旧Twitter)やTikTokで拡散された、ご高齢の患者様の脱脂術後の動画では、術後の目元の様子(眼球の位置のずれ、上まぶたの二重のラインのずれなど)が「明らかに失敗ではないか」という印象を視聴者に与えました。
美容手術の経験がない方が動画をパッと見た場合、その状態を「失敗」だと断定してしまうかもしれません。しかし、医師から見ると、術直後の状態だけでは、本当に失敗かどうかを断定することは難しいという側面があります。
術直後に目元が不自然に見える原因として、以下の要素が考えられます。
1. 麻酔や浮腫の影響: 手術直後は麻酔が効いている、あるいは麻酔の影響で、目を動かす筋肉(下斜筋など)の動きが一時的に麻痺してしまい、斜視のような状態(目が通常と違う方向を向く)に見える可能性があります。
2. ダウンタイム中の変化: 手術直後の腫れや内出血の影響で、組織が通常とは異なる状態に見えることがあります。
もしクマ取りの際に、実際に目の動きを支配する筋肉(下斜筋)を切ってしまった場合は、斜視(写真)になってしまうリスクはありますが、術直後であれば麻酔の影響である可能性も考慮されます。したがって、最終的な治療結果を見るためには、腫れが落ち着いた後の経過を待つ必要があります。
また、このような「おかしくなっているように見える動画」をあえてアップロードし、再生数やインプレッションを稼ぐという戦略的なマーケティング(バズらせる)の意図があった可能性も指摘されています。
2. 高齢者における脱脂単独治療の適用とリスク
今回話題になったケースのように、60代や70代の患者様に対して脱脂(脂肪を取る手術)を単体で行うことは、一般的には適応外であることが多いです。
高齢になるほど、組織(皮膚、筋肉など)は弱く、柔らかくなっています。このような状態で目の下の脂肪を取り除いてしまうと、以下のリスクが高まります。
1. 目の落ち込み(へこみ感)の増大: 脂肪を取り除いたことで、目が落ち込んだり、上まぶたがへこんだりするリスクが高まります。
2. シワの増加: 脂肪の突出(出っ張り)が解消されても、皮膚のたるみや弱さから、術前よりも明らかにシワが寄って見える可能性が高くなります。
特に、術直後の写真や動画は光を強めに当てて撮影されていることが多く、多少のシワは分かりづらくなっている傾向があるにもかかわらず、今回の事例では術直後でもシワが寄っていることが確認されています。腫れが落ち着き、光を強く当てていない状態(術後1週間〜1ヶ月)になった際には、さらにシワが目立つことが予想されます。
患者様ご本人がそのシワの増加に対してどのように思われるか、という点が重要な懸念事項となります。
3. 高齢者に適した治療選択肢と「すり合わせ」の重要性
高齢の患者様の場合、たるみやシワを改善し、若々しい目元を取り戻すためには、脱脂術に加えて他の処置を組み合わせるか、切開を伴う手術が有効である確率が高くなります。
一般的に選択肢となるのは以下の方法です。
1. 裏ハムラまたは余剰皮膚切除の併用: 皮膚のたるみが強い場合、脂肪処理に加えて皮膚を切除して引き上げる方法を組み合わせることで、シワの改善を図ります。
2. 脂肪注入やヒアルロン酸注入の併用: 脱脂を行う際に、将来的なへこみやシワの発生を予防・軽減するために、脂肪注入やヒアルロン酸を組み合わせて行う方法です。
ただし、患者様の中には「どうしても切りたくない」「メスを使いたくない」という強い意思をお持ちの方もいます。話題となった今回の患者様も、切らずにできるクリニックを選んだ可能性があります。
このような場合、ドクターと患者様の間で、何を優先するかについての綿密な「すり合わせ」が極めて重要となります。
• 「とにかく脂肪の出っ張りを減らしたい/なくしたい」という目的を最優先し、その結果ある程度のシワが残ること(あるいは増えること)を許容できるのであれば、切らない方法(脱脂+脂肪注入/ヒアルロン酸)が選択肢となり得ます。
• 「しっかり皮膚もタイトにして、15年ぐらい前の目元に若返りたい」「ダウンタイムもある程度取れる」という希望がある場合は、結果的に切開を検討する必要が出てくるでしょう。
もし脱脂だけで一時的に様子を見て、後からへこみ感やシワ感が気になるようであれば、へこみにはヒアルロン酸、ちりめんジワにはレーザー治療(フラクショナルレーザーなど)で引き締めを試みるという段階的な治療計画も考えられます。
しかし、深いシワができてしまい、それがどうしても気になる場合は、「切って引き上げる」という最終手段を検討せざるを得ない状況になる可能性もあります。
4. クマ治療の潜在的なリスクと心構え
クマ治療を検討されている患者様、特にこれから手術を受ける予定の方は、以下のリスクと心構えを理解しておく必要があります。
• 斜視のリスク: クマ治療後に斜視が起こる可能性は「ゼロとは言い切れません」。非常にまれではありますが、リスクとして存在します。元々斜視の傾向があった人が手術を受けると、それが目立つようになる可能性もあります。
• 術直後の経過: 手術直後やダウンタイム中には、「これ大丈夫かな」と思ってしまうような状態になることは想定しておくべきです。もちろん、今回の事例ほど顕著な変化が出ることは稀であると考えられますが、上記の理由により、ご高齢の方ほど慎重な判断が必要です。
結論:適切な情報開示と患者理解の促進
美容医療においては、患者様の希望(「切りたくない」など)を尊重しつつも、年齢や組織の状態に基づいた治療の限界と、それに伴うリスク(特にシワの増加やへこみ)を、ドクターが事前に明確かつ正直に伝えることが大切です。
治療を検討される際は、ご自身の希望と、その希望を叶えるために伴う可能性のあるリスクや代償(シワ、へこみ、ダウンタイムなど)を十分に理解し、ドクターと納得のいくまで話し合い(すり合わせ)を行うことが、満足度の高い結果を得るための第一歩となります。
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裏ハムラ:睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等
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ヒアルロン酸注入:内容:ボリュームの減少等で影ができる原因部位に注入することで、しわやたるみを改善、目を大きく見せたり、唇をふくよかにしたり、鼻を高くする等、パーツ形成もできる治療です。料金:68,200円※料金は変更となる可能性がございます。
リスク・副作用:痛み、腫れ、赤み、感染、アレルギー、皮膚の血行障害、視力障害等
リスク・副作用:痛み、腫れ、赤み、感染、アレルギー、皮膚の血行障害、視力障害等
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お顔の脂肪注入:大腿または腹部等から脂肪を吸引し、お顔(顔面/目の下/ゴルゴライン/おでこ/こめかみ)にコンデンスリッチまたはナノリッチに加工した脂肪を注入する手術です。
料金:1部位の場合198,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:内出血、腫れ、感染、凸凹、しこり、拘縮、引きつれ、神経障害 等
料金:1部位の場合198,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:内出血、腫れ、感染、凸凹、しこり、拘縮、引きつれ、神経障害 等
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ピコフラクショナル:お顔全体にレーザーをフラクショナル照射することで、シワや毛穴、ニキビ痕の改善に効果的です。
料金:22,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:色素沈着、色素脱失、シミの取り残し・再発、炎症、肝斑の増悪、熱傷等
リスク・副作用:色素沈着、色素脱失、シミの取り残し・再発、炎症、肝斑の増悪、熱傷等
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クマ治療について詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/surgery/
