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こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
美容医療の進化に伴い、目の下の膨らみや影を解消する「クマ治療」は、もはや特別なものではなくなりました。中でも「脱脂手術」は、比較的シンプルで効果が高いことから広く普及し、若年層を中心に人気を博しています。
しかし近年、この脱脂手術をめぐる深刻な問題がSNSを賑わせています。それが、「過剰脱脂」です。脂肪を取りすぎて目元が不自然にへこんでしまうという失敗例が多数報告され、被害者の会のような動きも見られるほどです。
この過剰脱脂問題は、一部の医師の技術不足に留まらず、クマ治療全体、特に脱脂手術のイメージと人気に、壊滅的な影響を与えかねないという強い懸念が示されています。
本記事では、過剰脱脂がなぜ問題視され、クマ治療のイメージをどのように損なっているのかを解説するとともに、実際に他院で過剰脱脂の失敗を経験された患者様の修正症例を元に、適切な治療選択の重要性を深く掘り下げます。
(経結膜脱脂:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。
料金:154,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
1. 脱脂手術の構造と失敗が生む負のイメージ
脱脂手術の基礎:シンプルさがもたらす普及
脱脂手術は、目の下を「アッカンベー」した際に現れる結膜の部分を切開し、そこからクマの原因である眼窩脂肪を取り除くという、極めてシンプルな手術です。眼窩脂肪は、主に内側・真ん中・外側のコンパートメントに分かれていると言われております。当院では、患者様のお目元の状態にあわせて、適切な量を適切な場所から取り除きます。
手術の手順がシンプルなため、大手クリニックを含め全国どこでも広く提供されており、美容の患者様にとって非常に身近な手術となっています。特に若年層など、脱脂だけで綺麗に仕上がるケースも多いため、「良い手術」として以前から行われてきました 。
物理的な失敗メカニズム
しかし、このシンプルな手術には「取りすぎ」(過剰脱脂)と「取りなさすぎ」(再発)という、二つの大きなリスクが伴います。
過剰脱脂(取りすぎ)によるへこみと影の強調
眼科脂肪を取りすぎてしまうと、涙袋よりも下側がへこみ、日陰のような状態で影が暗く見えてしまいます。
このへこみは、元々あった茶クマ(色素沈着)や青クマ(筋肉が透ける)といった他の種類のクマと重なると、影によって暗さが強調され、余計に目元が暗く見えるという問題を引き起こします。
深刻な合併症:上まぶたのへこみ
さらに深刻なのが、脱脂後に上まぶたのへこみが気になるケースが稀に発生することです。
クマの原因となる眼窩脂肪は、目玉を保護するために上下左右でカップ状に包んで繋がっています。下まぶたの脂肪を極端に取り除いてしまうと、特に中高年の方の場合、下側の支えがなくなることで目玉がわずかに下方向に沈んでしまうことがあります。その結果、上側のスペースに空間ができ、上まぶたの脂肪が奥に引っ込むように移動し、上まぶたのへこみとして現れてしまいます。
再発(取りなさすぎ)と修正の困難さ
逆に、脂肪を少ししか取らないドクターの場合、再発(ほとんど変わっていない状態)のリスクが高まります。術直後や短期間は、止血のために電気メスなどで焼いたことによる組織の萎縮や拘縮で引き締まって見えても、約3か月経って治癒が進むと、組織が柔らかくなり元に戻ってしまうことがあります。
一度傷ができた組織は拘縮反応により硬くなっているため、再手術で脂肪を「取りづらい」または「移動させづらい」という問題が生じ、修正の難易度が上がってしまいます。
治療のイメージと人気の低下
SNS上でこれらの「へこみすぎ」や「残りすぎ」といった失敗例が騒がれることで、「脱脂という手術自体がダメだ」という誤ったイメージが定着してしまうことが危惧されています 。
このネガティブなイメージは、脱脂だけでなく、クマ治療全体の市場(人気)を低下させ、「みんなクマ治療をしなくなってしまう」という結果を招く可能性が懸念されています。
また、修正困難だと他院で告げられた患者様は「もうどうしようもない」という絶望感に浸ってしまうこともあります。この心理的な負荷は大きく、見た目への不満が「悪いことをされた」という精神的な負のスパイラルに繋がりかねません。
2. 【修正症例解説】多回数の脱脂と上まぶたのへこみをどのように修正したか
当院に来院された患者様の中には、他院での過剰脱脂や不十分な手術により、修正を希望される方が多くいらっしゃいます。今回は、特に難易度の高い「上まぶたのへこみ」を伴う修正症例をご紹介します。
患者様の状況と主訴
・患者様: 30代 女性
・経緯: 地元のクリニックで既にクマ取りを3回実施。1回目では大きな変化がなく、2回目、3回目と繰り返し手術を受けた。
・問題点: 3回目の手術後、へこみが気になるようになった。特に左目の上まぶたのへこみが深刻な主訴であった。また、目元の下側にはゴルゴライン沿いのへこみが目立ち、わずかながら脂肪の残り(もこっとした状態)も触れる状態であった。
この症例から推測されるのは、前のクリニックでの処置が方針として脂肪を「なるべく取らない」ものであったか、あるいは患者様の要望に応じようとした結果、過剰脱脂に至った可能性です。
当院での修正方針
この患者様への修正手術は、正式には「再切開を伴う脂肪注入」という形で行われました。修正の目的は以下の2点でした。
①取り残しの確認と処理: 仮に脂肪が残っている状態で注入だけを行うと、残った部分が突出し、動いた時に目立ってしまうリスクがあります。そのため、結膜を切開して中を再度確認し、取り残しがないかをチェックしました。
②へこみへの注入: へこみが目立つ下まぶたのゴルゴライン部分、そして特に難易度の高い左上まぶたに脂肪を注入して埋めていきます。
(クマ取り&脂肪注入:下まぶたをめくり、あっかんべをした状態で結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を切除します。大腿内側または腹部から脂肪を採取し、目の下/ゴルゴラインに注入しハリを出しシワの改善を行います。
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
難易度の高い「上まぶたの注入」の工夫
修正手術において、最も難易度が高かったのが上まぶたへの注入です。
上まぶたは非常にデリケートな部位であり、注入する際には細心の注意が必要です。
・注入層の選択: 注入は、皮下、あるいは眼輪筋の中、またはその下といった比較的浅い層に入れます。
・注入量の制限: 量を入れすぎたり、深い層に入れすぎたりすると、目を開閉した時にしこりのように浮き出てしまうリスクがあります。そのため、この患者様も注入量は非常に控えめに抑えられました。
脂肪注入は、注入した脂肪が一部吸収されてしまうため、安全性を最優先し、「もし吸収されてへこみが戻るようなら、もう一度注入する」というニュアンスで、段階的に治療を進めることが最も安全とされています。
(脂肪注入:太腿、腹部、等から脂肪を吸引し、お顔(顔面/目の下/ゴルゴライン/おでこ/こめかみ)にコンデンスリッチまたはナノリッチに加工した脂肪を注入する手術です。
料金:154,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:内出血、腫れ、感染、凸凹、しこり、拘縮、引きつれ、神経障害等)
術後経過
術後1ヶ月の時点で、目元のへこみはかなりの改善が見られました。斜めから見た写真でも、術前に比べて著しい改善が確認できます。特に左目の上まぶたは、右に比べればまだわずかにへこみが残るものの、周囲から見て「へこんでいる」という印象は薄くなりました。
3. 失敗を避け、成功へと導くために
過剰脱脂の問題が騒がれている今だからこそ、患者様は治療のリスクを過剰に心配しすぎることなく 、適切な医師を選ぶことが重要です。
専門医の「引き出しの多さ」が鍵
難易度の高い修正症例に対応するためには、医師が多様な治療法の「引き出し」を持っていることが不可欠です。
・脱脂だけでなく、脂肪を移動させるハムラ法、そして脂肪注入といった全ての治療法に対応できる専門性の高い医師であれば、患者様一人ひとりのクマの状態(適応)に合わせて最適な治療法を選択できます。
(表ハムラ:睫毛下を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させて、凹みのある個所に固定し直します。シワの原因となっている余剰皮膚も切除することで、シワの改善にも効果が期待できます。
料金:451,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等
裏ハムラ:睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。
料金:330,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等)
・「脱脂しかやらない」といった一つの手法しか提供できないドクターにかかると、その手法を無理に適用しようとしてしまい、結果として失敗のリスクを高めてしまいます 。
当院のように、クマ取りから脂肪注入、ハムラ法まで全てを実施し、難易度の高い修正にも対応できるクリニックであれば、万が一の場合も適切なフォローや修正が可能となります。
過剰脱脂は避けられるべき問題ですが、脱脂手術自体は決して欠陥手術ではありません。適切な適用を見極め、技術力の高い専門医を選ぶことが、理想的な目元への最短ルートとなるのです 。
詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/surgery/kuma.html
