1. 法令線の正体:筋と脂肪、コントラストの構造
法令線とは、一体何なのでしょうか。これは、目の下のティアトラフやゴルゴラインと同じく、「靭帯(じんたい)」の一部として捉えることができます。 靭帯とは、例えるなら牛肉の「筋」のようなものです。皮膚のすぐ下から骨まで深く食い込むように走っており、この靭帯が存在することで、顔の肉を支える役割を果たしています。もしこの靭帯がなければ、顔のお肉はすべてだらんと下に下がってしまうでしょう。 法令線が目立つ主な原因は、この靭帯の食い込みの強さや骨格的な要因に加え、お肉のつき方によって決まります。 法令線が深く見えるのは、「出っ張り」と「へこみ」のコントラストが強いからです。- 出っ張り: 法令線より上側にあるお肉のボリューム。
- へこみ: 法令線自体、つまり靭帯の食い込みが強い部分。
2. 法令線の原因:年代で異なる「お肉のつき方」
法令線より上側にあるお肉が大きくなる原因は、若い世代と高齢世代で異なります。20代・30代の場合:元々のボリュームが原因
若い世代(20代、30代)の場合、法令線より上側の部分のお肉の量が元々多いことが、法令線が目立つ主な原因です。50代以降の場合:たるみによる脂肪の移動が原因
一方、50代ぐらいになってくると、顔のたるみや老化によって、頬(ほっぺタ)のお肉が垂れ下がってきます。この垂れ下がったお肉が法令線の上側に溜まる形となり、出っ張りを作るのです。つまり、高齢世代では、たるみが原因となって法令線が深くなっていることが多いといえます。3. 年代別・法令線治療の具体的なアプローチ
法令線治療の基本は、目立たせている「出っ張っている部分」を減らし、「へこんでいる部分」を埋めていく、という二本立てのアプローチです。3-1. 出っ張り(法令線より上側の肉)へのアプローチ
法令線より上側の脂肪は、脂肪吸引や皮膚科的な治療によって改善を目指します。脂肪吸引 (20代〜40代向け)
若い方の場合、法令線の上側にあるお肉(メーラーファッドやナゾラビアルファットと呼ばれる部分)を脂肪吸引で取ってしまうのが一般的かつ効果的な方法です。しっかり外科的な処置を行うことで、根本的なボリュームを減らすことができます。 内容:顎下/頬部/メーラーファット/ジョールファットから脂肪吸引を行う手術です。 料金:165,000円※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:左右差、凸凹、拘縮、引きつれ、感染、血管損傷や血管塞栓等脂肪溶解注射、ハイフ、糸リフト
メスを使わない治療としては、脂肪溶解注射も選択肢ですが、複数回の施術が必要な点がデメリットです。注入量によっては、脂肪吸引よりも高額になる可能性がございます。 脂肪溶解注射:注射器を用いて注入します。 気になる部分の脂肪に直接もしくは周囲に注入すること等で、気になる部分の脂肪をピンポイントで減らす効果が期待できます。 料金:3,300円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:痛み、腫れ、赤み、感染、アレルギー、皮膚の血行障害、視力障害等 脂肪を削るというよりは、少しシュッと引き締めるイメージで、糸リフト、ハイフ(HIFU)、といった皮膚科的な治療を行うことも一般的です。これらの治療は、基本的にどの年代にもお勧めできる治療法です。 糸リフト:メスを使うことなく、吸収性の糸をこめかみ辺りなどから挿入することで、お顔のたるみ改善・予防、全体的な引き締めが期待できます。 料金:33,000円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:内出血、腫れ、疼痛、ひきつれ、ツッパリ感、感染、左右差、凸凹等 ハイフ:超音波の熱を、お肌表面にダメージを与えることなく、狙った組織に集中照射して効果を得る治療です。たるみ治療や浅い層へのアプローチにより肌質改善に効果的です。 料金:18,700円~※料金は変更となる可能性がございます リスク・副作用:発赤、浮腫、熱傷、内出血、異常感覚等高齢者(50代以降)の脂肪吸引に関する注意点
ただし、年を取って顔の脂肪が少なくなり、痩せて皮膚余りの状態になっている方が、上側の脂肪を過度に吸引しすぎると、かえって皮膚のたるみがひどくなり、「ブルドッグのようなたるみ」が出現するなど、逆効果になるリスクがあります。この世代の場合は、脂肪吸引を行うとしても適量を見定めて吸引することが重要です。3-2. へこみ(法令線自体)へのアプローチ
へこんでいる法令線自体を改善するためには、注入系またはプロテーゼによる治療が一般的です。注入系:ヒアルロン酸、脂肪注入
最も導入しやすい治療は、ヒアルロン酸の注入です。ヒアルロン酸だけでなく、脂肪注入を行うこともあります。注入系でへこみを改善していくのが一般的な方法です。 しかし、口元をよく動かす方は、注入剤がもぐもぐ動かされているうちに減りが早くなってしまうことがあります。ヒアルロン酸を何回も注入してもすぐに効果がなくなってしまう、という方もいるのが実情です。 ヒアルロン酸:ボリュームの減少等で影ができる原因部位に注入することで、しわやたるみを改善、目を大きく見せたり、唇をふくよかにしたり、鼻を高くする等、パーツ形成もできる治療です。 料金:44,000円~※料金は変更となる可能がございます リスク・副作用:痛み、腫れ、赤み、感染、アレルギー、皮膚の血行障害、視力障害等 脂肪注入:太腿、腹部、等から脂肪を吸引し、お顔(顔面/目の下/ゴルゴライン/おでこ/こめかみ)にコンデンスリッチまたはナノリッチに加工した脂肪を注入する手術です。 料金:154,000円~※料金は変更となる可能がございます リスク・副作用:内出血、腫れ、感染、凸凹、しこり、拘縮、引きつれ、神経障害等プロテーゼ(貴族プロテーゼ)
注入系の治療で効果が持続しない方や、より持続的な効果を望む方は、プロテーゼ(貴族プロテーゼ)の挿入も検討できます。- メリット: 口の中から入れるため、顔の表面に傷が全く出ません。また、プロテーゼは塊を入れており、一度入れた分はなくなることがないため(10年〜20年程度持続)、非常にメリットが大きい点です。若い内であれば、長期的な持続性から考えても良い選択肢です。
- リスク: プロテーゼは人工物であるため、感染などのリスクがあった場合は、抜去する必要が生じる可能性があります。また、プロテーゼは鼻のプロテーゼと違い、形状が左右非対称なため、若干ずれやすいという癖があります。もしずれて上に上がりすぎると、法令線より上の盛り上がりにプロテーゼが重なり、結果的に法令線が余計に目立つようになるリスクもあります。その場合は位置の調整が必要です。
3-3. 50代後半以降・痩せ型の治療法:フェイスリフト
特に年を取って顔の脂肪が減り、痩せて皮膚余りが多くなっている方の場合、糸リフトをしても、脂肪組織が少なくなっているため引っかかる部分が少なく、引き上げ効果を実感しにくいことがあります。 このような脂肪が少ない・たるみが目立つタイプの方には、根本的にフェイスリフト系の手術を考えるのが最も効果的です。- ミッドフェイスリフト: 主に上方向に引き上げる手術。
- 通常のフェイスリフト: 法令線だけでなく、マリオネットラインやフェイスライン全体のたるみも気になる場合に、顔全体のたるみを引き上げる手術。
4. 法令線治療における最も重要な心得
法令線の治療を行う上で、最も注意していただきたい点があります。それは、法令線を「全くなくす」ことを目指しすぎないということです。 法令線はみんなが持っているものです。物理的に完全に消すことは難しく、もし強引に「全くなくそう」としすぎると、ヒアルロン酸などの注入剤をパンパンに入れすぎてしまい不自然で不格好な「もこっとした顔」になってしまうリスクが高まります。感覚が麻痺するほど注入を繰り返すことは、特に避けるべきです。 元々法令線が深い方が、少し浅くしたいという形で治療を進めるのが理想的です。不自然な仕上がりを避けるためにも、全くなくすのではなく、自然な改善を目標とすることが、若返り治療において最も重要な心得です。 詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/treatment.htmlご予約や当院ホームページから
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