1. まぶたの「へこみ」と「開きにくさ」の関係
まず、患者様から寄せられることの多い疑問として、「加齢による目の上のへこみ(くぼみ)は治療で軽減できるのか」というものがあります。 この目の上のくぼみは、単純に脂肪が減ったことによるものもありますが、多くの場合、眼瞼下垂によって目の開きが悪くなっていることと関連しています。1-1. 眼瞼下垂がへこみを引き起こすメカニズム
まぶたの開きを担っている筋肉は、目頭から目尻にかけて繋がっています。この筋肉が緩んでくると、目を開くために、さらに根元の部分から筋肉が引っ張ろうとします。 この過度な引っ張りにより、半開きの状態になるだけでなく、周辺の組織も一緒に引っ張られてしまい、結果として目の上がへこんで見えるという現象が起こるのです。1-2. 軽度な眼瞼下垂へのアプローチ
もし、へこみが軽度で、特に若い方の場合、切開を伴わない埋没法(糸をかけてまぶたを固定する方法)である程度改善する場合が多いです。軽めの眼瞼下垂であれば、まずは埋没法を試してみるという選択肢も考えられます。 しかし、へこみがひどい、または目元の開きがかなり悪い重度の眼瞼下垂(特に60代以上の方など)の場合は、埋没法では対応しきれず、切る眼瞼下垂の手術(挙筋前転術など)が必要になるケースが多くなります。 -------------------------------------------------- 眼瞼下垂手術:上眼瞼の皮膚を切除し下層にある筋肉(挙筋)を前転することにより、上まぶたのたるみ・下垂を改善する手術です。 料金:352,000円~※料金は変更となる可能がございます リスク・副作用:乱視、再発、左右差等 ---------------------------------------- 埋没法:上まぶたを切らずに糸で留め、二重ラインを作る手術です。 料金:99,000円~※料金は変更となる可能がございます リスク・副作用:目が開きづらい、痛み、左右差等)2. 保険診療と自由診療:適用範囲と決定的な違い
眼瞼下垂の手術は、その症状や目的によって、保険診療(医療保険が適用される治療)と自由診療(全額自己負担となる美容的な治療)のいずれかに分かれます。 クリニックによっては保険対応可能なところもありますが、どこからどこまでが保険適用となるのかを理解することが重要です。2-1. 保険診療の基準:機能回復を最優先
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- 保険診療の対象となるのは、「症状がある」場合です。美容的な側面ではなく、機能的な問題が深刻である場合に適用されます。
具体的な基準としては、以下のような重度の機能障害が挙げられます。
- 〈視野の悪化・半開き状態〉
- まぶたが半開きの状態であり、視野が悪い。
- 〈代償動作の発生〉
- 目が開きにくいため、無意識のうちにおでこの筋肉を使ってまぶたを持ち上げている状態。
- この状態が続くと、頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。
- つまり、保険診療のメインは、開けにくい状態を改善し、症状を取り除くことにあります。
- 保険診療の対象となるのは、「症状がある」場合です。美容的な側面ではなく、機能的な問題が深刻である場合に適用されます。
具体的な基準としては、以下のような重度の機能障害が挙げられます。
2-2. 自由診療の基準:美容的な側面が強い場合
一方、自由診療の対象となるのは、主に美容的な側面が強い場合です。- 例えば、まだ軽度でありながら「目が少し気になる」という若い方。
- 「目力を強くしたい」といった、美的な改善を目的とする場合。
2-3. 形成外科医の「こだわり」:機能性と審美性の両立
本来、保険診療は「見栄えは二の次で、とにかく引き上げて目が開く状態にすること」を目的としています。 しかし、形成外科医の中には、保険診療を行う際も、せっかく来院された患者様のために、外見上も綺麗になるように形を整えるというこだわりを持って治療を行っている場合があります。これは、あくまで形成外科医としての良心的な側面に起因するものです。3. まとめ:自分に合った治療を選択するために
眼瞼下垂の治療は、その目的(機能回復か、美容改善か)と症状の程度(軽度か重度か)によって最適な選択肢が変わります。- 〈軽度で審美性が主目的の場合〉
- 自由診療(埋没法など)が選択肢になります。
- 〈重度で視野や健康に支障が出ている場合〉
- 保険診療(切る手術を含む)の適用を検討すべきです。
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