こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
「クマ取り」の手術は、目元の印象を劇的に改善し、若々しい印象を取り戻す人気の美容医療です。しかし、どんな医療行為にもリスクはつきもの。特にデリケートな目元を扱う手術だからこそ、「失敗したらどうなるの?」という不安を感じる方も少なくないでしょう。
今回は、クマ取り手術で起こりうる様々なリスクについて、軽微なものから重大なものまで、詳しく掘り下げていきます。
クマ取り手術を検討している方はもちろん、リスクについて漠然とした不安を抱えている方も、ぜひこの記事を最後まで読んで、後悔のない選択をするための知識を深めてください。
クマ取り手術における「失敗」の定義とは?
まず、「失敗」とは何か、という点から考えてみましょう。美容整形における失敗の定義は、患者様の主観に大きく左右されることがあります。例えば、「クマ治療で目が見えなくなった」という場合は、疑いようのない「明らかな失敗」と言えるでしょう。しかし、「へこみの程度が個人的に気に入らない」といったレベルであれば、それは「好みの問題」と捉えられることもあります。
クマ取り手術では、様々な方法があります。代表的なものとしては、まぶたの裏側を切開して脂肪を除去・移動させる「裏ハムラ法」や、皮膚側から切開する「表ハムラ法」などがあり、他にも多種多様な治療法が存在します。これらの手術で起こりうるリスクについて、具体的に見ていきましょう。
軽微なリスクとそのリカバリー方法
クマ取り手術で比較的よく聞かれる、修正がある程度可能な「軽微なリスク」には、以下のようなものがあります。
・へこみ: 脂肪を取りすぎた場合や、組織の癒着によって皮膚がへこんで見えることがあります。
・小ジワ: 皮膚のたるみが残ることで、術後に小さなシワが目立つようになることがあります。
・再発: 取りきれなかった脂肪が再び目立ってきたり、加齢とともに新たな脂肪が出てきたりすることで、クマが再発することがあります。
これらのリスクは、時間とともに落ち着いてきたり、修正が可能である場合が多いです。
・へこみに対しては、ヒアルロン酸やご自身の脂肪などを注入することで改善が期待できます。
・小ジワに対しては、レーザー治療などで肌のハリを改善するアプローチが有効です。中年以上の方で皮膚のたるみが原因の場合は、切開して引き上げる手術が選択されることもあります。
・再発した場合は、再度クマ取り手術を行うことで改善を目指せます。
このように、軽微なリスクであれば、修正技術の進歩もあり、リカバリーが可能であるケースがほとんどです。
重大なリスク:視覚に関する問題
一方で、クマ取り手術では、視覚に影響を及ぼす重大なリスクも存在します。これらは頻度は非常に低いものの、ゼロではないと考えます。
1. 複視(物が二重に見える)
複視とは、片目で物を見たときに二重に見える現象です。クマ取り手術後に複視が起こる原因はいくつか考えられます。
・下斜筋の損傷
目元には、眼球を動かすための様々な筋肉があります。特に下斜筋(かしゃきん)は、クマ取りや裏ハムラ手術の際に脂肪を摘出・移動させる際に最も近い位置にある筋肉の一つです。脂肪を引っ張る際に、誤ってこの下斜筋も一緒に引っ張ってしまったり、損傷させてしまったりすることで、一時的に複視や焦点が合いづらくなることがあります。 これは筋肉の「捻挫」や「挫傷」のような状態と捉えることができ、多くの場合、時間と共に自然に回復することが期待されます。 しかし、下斜筋を完全に切断してしまった場合は、自然回復は困難です。その場合は、外科的に筋肉を再接続する手術を行わない限り、複視などの症状は改善しない可能性があります。幸い、通常の手術では下斜筋を傷つけないように周囲の脂肪を慎重に扱いますので、切断に至ることはまずないと考えられています。
・眼球の位置の変化
下眼窩の脂肪を除去したり移動させたりする手術によって、ごくわずかですが眼球の位置が変化することがあります。これは、ボクサーが殴られて眼窩底骨折を起こし、眼球の位置が変わって二重に見えるケースと似たような現象です。 眼球の位置の変化によって焦点が合いづらくなったり、物が二重に見えたりすることがありますが、眼窩底骨折の場合と同様に、多くは時間と共に元の状態に戻ることが期待されます。
2. 失明
クマ取り手術による失明は非常に稀なケースですが、最も懸念される重大なリスクの一つです。
・視神経の圧迫(球後出血)
通常、クマ取りや裏ハムラなどの手術で視神経を直接傷つけることはありません。しかし、術後に出血が止まらず、眼窩の奥深くに血液が溜まってしまう「球後出血(きゅうごしゅっけつ)」という状態が起こると、溜まった血液が視神経を強く圧迫し、血流障害などを引き起こして失明に至る可能性があります。 裏ハムラ法などでは、通常、粘膜の切開部を縫合せずに開けたままにしておくことが多いです。これは、万が一術後に出血が起きた場合に、血液が眼窩内に溜まらず、外側へ排出されやすくするためです。これにより、患者様は「血の涙が出た!」と驚くかもしれませんが、球後出血のリスクを低減し、腫れも早く引く効果があります。もし切開部を縫合してしまっていると、出血が外に出られずに眼窩内に溜まり、視神経を圧迫してしまう危険性が高まります。
・失明につながる可能性のある要因
・出血傾向のある薬の服用: 血液をサラサラにする薬など、出血しやすくなる薬を服用していると、術後に出血量が増加し、救後出血のリスクが高まる可能性があります。
・解剖学的異常: 血管腫や動脈瘤など、通常とは異なる血管の異常が目元の奥にあった場合、予期せぬ大量出血を引き起こす可能性もゼロではありません。ただし、目元にそのような異常があること自体が非常に珍しいとされています。
・手術手技の問題: 医師の未熟な技術や不適切な手術手技も、重大な合併症を引き起こす原因となり得ます。
日本での発生可能性
日本国内で、大昔に失明事故の「風の噂」を聞いたことがあるという話はありますが、極めて稀なケースです。しかし、患者様に血管の塊のような解剖学的変異があったり、未熟な技術の医師が手術を行ったりした場合には、日本でもこのような重大事故が起こる可能性はゼロではないとされています。
患者様がとるべき対策:安全なクリニック選びの重要性
このようなリスクを最小限に抑えるために、患者様自身ができる最も重要な対策は、施術を受けるクリニックと医師を慎重に選ぶことです。
・経験豊富な医師を選ぶ: クマ取りや裏ハムラなどの施術経験が豊富で、多くの症例数をこなしている医師を選ぶことが非常に重要です。経験豊富な医師は、解剖学的な知識が深く、トラブルが発生した場合にも冷静かつ適切に対応できる可能性が高いです。
・シンプルな手技を優先する: 医師側も、患者様の安全を最優先に考え、極力シンプルでリスクの少ない方法で改善できるのであれば、それが最も良い選択であると考えます。新しい複雑な手法が必ずしも良いとは限らず、奥深くまで触るような方法はリスクを高める可能性もあります。
クマ取り手術は、多くの人にとって満足度の高い結果をもたらす美容医療ですが、軽微なものから失明に至る重大なものまで、様々なリスクが存在することを理解しておく必要があります。安易に施術を受けるのではなく、十分な情報収集と信頼できるクリニック・医師選びを行うことで、安全に理想の目元を手に入れましょう。
この情報が、皆さんのクマ取り手術に関する不安解消と、賢い選択の一助となれば幸いです。
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