こんにちは!お茶の水美容形成クリニックです。近年、美容医療の分野では様々な肌治療や注入剤が登場し、選択肢が広がっています。その中でも、特に目元や繊細な小じわの改善に注目されているのが「ベビーコラーゲン」です。かつてはヒアルロン酸の台頭により一時的に主流から外れた時期もありましたが、その独特な特性と効果が再評価され、再び多くのクリニックで導入が進められています。今回は、ベビーコラーゲンの特徴から、なぜ今改めて注目されているのか、どのような症状に効果が期待できるのかを、当院統括医師の吉井健吾医師が詳しくご紹介します。
ベビーコラーゲンとは?私たちの肌が持つ「柔らかさ」の秘密
私たちの体内に存在するコラーゲンは、主に「1型コラーゲン」と「3型コラーゲン」の2種類で構成されています。このうち、1型コラーゲンは硬い性質を持ち、骨や腱などの形成に深く関わっています。一方、3型コラーゲンは非常に柔らかく、肌の弾力や潤いを保つ上で重要な役割を担っています。
「ベビーコラーゲン」と呼ばれる注入剤は、この3型コラーゲンを主成分としています。なぜ「ベビー」という名前が付いているのでしょうか。それは、赤ちゃんのお肌には1型と3型コラーゲンがほぼ50%ずつの割合で豊富に存在しているためです。しかし、コラーゲンは年齢を重ねるにつれて3型コラーゲンの量が大きく減少していきます。これが、肌の潤いやもっちり感が失われ、小じわが増える原因の一つと考えられています。
ベビーコラーゲンを注入することは、まさに赤ちゃんのお肌にあるような柔らかいコラーゲンを直接補給し、失われた肌の潤いや弾力、もっちりとした質感を取り戻すことを目指す治療と言えるでしょう。
ヒアルロン酸との違い:なぜベビーコラーゲンは再評価されているのか?
ベビーコラーゲンは、注入剤としてはヒアルロン酸よりも古くから利用されていました。しかし、ヒアルロン酸が登場してからは、一時的にその利用が減少しました。その主な理由は、ベビーコラーゲンが柔らかい性質を持つため、深い溝やへこみに対して大量に注入すると、持続期間が短く、流れやすいという特性があったためです。例えば、ほうれい線や額、こめかみの深いへこみ、顎の形成など、ある程度の形作りやボリュームアップが必要な部位には、ヒアルロン酸の方が適している場合が多いとされています。
しかし、ベビーコラーゲンには、ヒアルロン酸では得られない独自の強みがあります。特に、目元に注入した際の「自然な仕上がり」と、「小じわを直接的に浅くする」効果は、他の注入剤ではなかなか得られないものとして再評価されています。脂肪注入以外の皮膚科的な注入剤の中で、目元にこれほど自然に馴染むものはベビーコラーゲン以外にないと考えられています。
また、ベビーコラーゲンは一時的に、市場での供給が不安定だった時期もありました。理由として、コロナ禍やウクライナ情勢の影響で、製造工場の出荷が停止していた背景があったためです。しかし、今年に入り供給が安定し始めたことで、再び多くのクリニックで注目され、今後さらにその利用が拡大していく可能性が示唆されています。
ベビーコラーゲンが特に適している症状と部位
ベビーコラーゲンの最大の特長は、その「柔らかさ」にあります。この特性を活かすことで、特に以下のようなデリケートな部位や症状に対して、非常に高い効果が期待できます。
1. 目元の軽度のへこみ・くま
◦ 目元は皮膚が薄くデリケートなため、硬いヒアルロン酸を注入すると不自然な仕上がりになるリスクがあります。ベビーコラーゲンは柔らかい質感のため、目元の軽度のへこみや浅いくまに注入することで、非常に自然で滑らかな仕上がりが期待できます。
◦ ただし、骨格的に深いへこみ等、お目元の状態によってはベビーコラーゲンでは十分な効果が得られない場合があります。その場合は、外科的なくま取り手術や脂肪注入など、適切な治療を提案することもあります。
◦ 外科手術や脂肪注入後にわずかに残った軽度の溝に対して、ダウンタイムを再度取るほどではないが気になる、という場合の補助的な治療としても有効です。この場合、手術後3ヶ月以上経過し、傷口や組織が落ち着いてから注入することが推奨されます。
2. 顔や首の小じわ
◦ 笑った時にできる目尻の細かい小じわ、口元のシワ、首の横じわなど、肌の表面に現れる繊細なシワに対してもベビーコラーゲンは効果的です。
◦ このような小じわに対しては、シワに沿って少し盛り上げるように注入することで、肌の表面をなめらかにし、浅くする効果が期待できます。この直接的な小じわ改善効果は、ベビーコラーゲンの大きな強みの一つです。
持続期間と効果のメカニズム:繰り返し注入のメリット
ベビーコラーゲンの持続期間は、一般的にヒアルロン酸に比べてやや短いとされていますが、ベビーコラーゲンには、単に注入したコラーゲンが吸収されるだけではない、もう一つの重要な効果が期待できます。
それは、繰り返しベビーコラーゲンを注入することで、注入された部位の周囲の組織が刺激され、自身のコラーゲン生成が促進される可能性がある、という点です。これにより、注入したベビーコラーゲン自体が体内で吸収された後も、自身の肌組織が厚くなり、結果として溝やシワが浅くなる効果が期待できると考えられています。この自己組織の再構築を促す効果は、一時的なボリュームアップにとどまらない、根本的な肌質改善へとつながる可能性を秘めています。
まとめ:ベビーコラーゲンで、より自然な美しさを
ベビーコラーゲンは、その「柔らかさ」という独特の特性を最大限に活かすことで、ヒアルロン酸では難しい目元の自然な仕上がりや、小じわへの直接的なアプローチを可能にする注入剤です。深いへこみの改善や大幅なボリュームアップには不向きな側面もありますが、軽度の目元のくまや溝、そして顔や首の繊細な小じわに対しては、他のどの注入剤よりも優れた効果と自然な仕上がりが期待できます。
一度はヒアルロン酸にその座を譲ったかに見えましたが、ベビーコラーゲンにしか生み出せない独自の価値が再認識され、再び注目を集めています。目元の小じわや軽度のくま、肌の質感改善などにお悩みの方は、ぜひ一度、ベビーコラーゲン注入という選択肢を検討されてみてはいかがでしょうか。ご自身の肌の状態や理想とする仕上がりに合わせて、最適な治療法を見つけるためには、専門医にご相談いただくことをお勧めします。
ベビーコラーゲンについてはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/beauty/hyaluronic_acid.html#002