こんにちは!お茶の水美容形成クリニックでございます。
目の下のクマは、疲れた印象や老けた印象を与えがちで、多くの方がその改善を望んでいます。中でも「裏ハムラ法」は、その効果の高さから注目を集める治療法の一つです。しかし近年、この「裏ハムラ法」を巡る様々な問題やトラブルがSNSなどで話題になっており、患者様が安心して治療を受けるための正しい情報が強く求められています。
「裏ハムラと聞いて手術を受けたのに、実は別の治療だった」「高額な費用を請求された」といった声が聞かれる中、この記事では、目の下のクマ治療における「裏ハムラ法」について、その定義、手術のメカニズム、そして患者様がトラブルを避けるために知っておくべき重要なポイントを、当院統括医師の吉井健吾医師が詳しく解説します。
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「裏ハムラ法」とは何か?その基本を理解する
まず、「裏ハムラ法」とはどのような手術なのか、その基本的なメカニズムを理解することが、後悔しない治療選択の第一歩となります。
目の下の解剖学的構造は、まつ毛側から順に皮膚、眼輪筋(目の周りの筋肉)、膜に包まれた脂肪(眼窩脂肪)、そして骨のヘリ(眼窩縁)から構成されています。クマの主な原因は、この眼窩脂肪が前方に突出することと、その下の骨のヘリ部分がへこんで見えることにあります。
「裏ハムラ法」は、この目の下のデリケートな部分にアプローチする手術です。具体的には、皮膚を切開することなく、まぶたの裏側から眼輪筋と眼窩隔膜(脂肪を包む膜)の間を丁寧に剥離し、さらに骨のヘリを超えて深部まで剥離を進めます。その後、突出した眼窩脂肪を必要に応じて少量除去し、その脂肪と眼窩隔膜を溶ける糸で骨のヘリの向こう側(へこんでいる部分)に固定します。
この手技により、脂肪の突出だけでなく、骨のヘリのへこみも同時に改善し、目の下をより平坦で滑らかな、自然な状態に整えることを目指します。
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「裏ハムラ詐欺」とは?なぜ見抜かれにくいのか
近年問題視されている「裏ハムラ詐欺」とは、患者様には「裏ハムラ法を行う」と説明しながら、実際には「クマ取り(眼窩脂肪の除去)」や「クマ取りに加えて脂肪注入」のみを行っているケースを指します。
この問題が複雑で、患者様自身が見抜くことが極めて難しいのは、いくつかの理由があります。
• 術後の見た目だけでは判断が困難: 手術を受けて一時的に目の下が綺麗になれば、患者様は「裏ハムラを受けて満足した」と感じることも少なくないためです。結果的にクマが改善していれば、患者様は自身が受けた治療が「裏ハムラ」であると信じてしまう可能性があります。
• 再手術時でも医師が判別困難なケースも: 術後数年が経過し、クマが再発して再度手術をする際でも、過去に裏ハムラが本当に行われたかどうかを医師が見分けるのも容易ではないとされています。これは、裏ハムラ法で脂肪を固定した糸が時間の経過とともに外れてしまった場合、その状態は単なるクマ取り後の状態と区別がつかなくなるためです。骨のヘリ部分に瘢痕(はんこん)があれば、裏ハムラが行われたと推測できる場合もありますが、必ずしも明確な痕跡が残るわけではありません。
• 「偽裏ハムラ」と断言することの難しさ: 上記のような背景から、再発したクマの再手術時に、過去の手術が「偽裏ハムラ」であったと断言することには、医師にとっても慎重な判断が求められる状況であるとされています。
このような状況の中、裏ハムラに加えて脂肪注入も行われたとして、200万円を超える高額な費用が請求されたという事例も報告されており、その金銭的被害も深刻です。
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「裏ハムラ法」を巡る専門家間の見解の相違と注意点
「裏ハムラ法」の手術方法は、医師の経験や考え方によって細部に違いがあり、この点も患者様を混乱させる要因となっています。
例えば、裏ハムラ法と脂肪注入の併用については、医師の間で意見が分かれることがあります。 「裏ハムラに脂肪注入は絶対に行うべきではない」と主張する医師もいる一方で、頬の凹みまでを裏ハムラ法だけで改善することは難しいため、脂肪注入を併用することは有効な選択肢であると考える医師もいます。ただし、脂肪注入を同時に行うと、裏ハムラの剥離層から脂肪が漏れたり、正確な注入量が分かりにくくなったりするリスクがあるため、裏ハムラとは別の機会に行うことを推奨する意見もあります。このように、一概に「どちらが正しい」とは言えないのが現状であり、「脂肪注入は絶対悪」と断言する考え方は、柔軟性に欠けるという見方もあります。
また、裏ハムラ法で通常行われるべき手技(例えばCPF再配置など)を「オプション」として別途請求するクリニックも存在すると指摘されています。患者様は、提示される治療内容と費用について、十分に確認し、何が基本料金に含まれており、何がオプションとして追加されるのかを明確に理解する必要があります。
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後悔しないためのクリニック選びと治療選択
目の下のクマ治療は、患者様一人ひとりの目の下の状態や、シワ・たるみの程度、そして期待する効果によって最適なアプローチが異なります。 「私は本当に裏ハムラ法をやっています」「私が提供する裏ハムラ法が最も誠実な方法です」と強く主張する医師やクリニックの言葉を鵜呑みにするのではなく、冷静な判断が求められます。
信頼できるクリニックでは、裏ハムラ法だけでなく、以下のような多様なクマ治療の選択肢を提示し、患者様の状態に合わせて最適な治療法を提案してくれることが期待されます。
目の下のクマ治療は根深い問題であり、安易に一つの治療法に飛びつくのではなく、複数の選択肢とそのメリット・デメリットを十分に理解し、自身の状態に最適な治療法を専門医とよく相談して選択することが重要です。
そのためには、まず自身の目の下の状態を正確に診断してもらい、それぞれの治療法がどのような効果をもたらし、どのようなリスクや副作用(例えば、手術時間による患者負担増大、出血、むくみ、再発の可能性など)があるのかについて、丁寧な説明を受けることが不可欠です。不明な点があれば、納得がいくまで質問し、セカンドオピニオンを求めることも有効な手段と言えるでしょう。
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まとめ
目の下のクマ治療、特に「裏ハムラ法」を取り巻く現状は、多くの議論や複雑な問題を含んでいます。患者様が安心して治療を受けるためには、単に治療名に惑わされるのではなく、治療の具体的な内容、医師の経験や考え方、手術時間、そして提示される費用やオプションの妥当性など、多角的に情報を収集し、検討することが求められます。
目の下のクマ治療は、見た目の印象を大きく左右するデリケートな施術です。後悔のない選択をするために、この記事が皆様の一助となれば幸いです。
●裏ハムラの症例
裏ハムラ:睫毛下または結膜を切開し、たるみの原因となっている脂肪を部分切除、移動させ、凹みのある個所に固定し直します。
料金:396,000円~※料金は変更となる可能性がございます
リスク・副作用:腫れ、内出血、感染、下眼瞼の外反、眼窩脂肪の取りすぎ、眼窩脂肪の取り残し、下斜筋の損傷 等
クマ治療について詳しくはこちら:https://www.ochanomizubiyou.com/surgery/kuma.html