【緊急対談】クマ取り（脱脂術）で失明事故？その原因と「失敗しない」クリニック選び

【緊急対談】クマ取り（脱脂術）で失明事故？その原因と「失敗しない」クリニック選び

こんにちは。お茶の水美容形成クリニックの吉井です。
今回は、SNSやニュースで大きな波紋を呼んでいる「美容外科手術による失明事故」について、当院の山田先生と共に専門医の視点から解説します。

「手軽にできる」というイメージが強いクマ取り治療ですが、そこには決して軽視できないリスクも潜んでいます。正しい知識を持ち、安全に治療を受けていただくために、ぜひ最後までお読みください。

1. なぜ「クマ取り」で失明してしまったのか？

吉井先生：
山田先生、先日SNS等で話題になった、都内の美容外科で起きた「クマ取り（脱脂術）」による失明事故のニュース、ご覧になりましたか？

山田先生：
はい、見ました。術後の写真も拝見しましたが、片目だけ異常に腫れて瞳孔の大きさも左右で異なっており……ご本人が「目が見えません」と訴えているのを見て、本当に胸が痛みました。

吉井先生：
通常、脱脂術のような手術で失明というのは、極めて稀なケースです。
今回の直接的な原因は、眼球そのものを傷つけたわけではなく、「球後出血（きゅうごしゅっけつ）」によるものと考えられますね。

山田先生：
そうですね。目の下の脂肪（眼窩脂肪）には血管が走っています。その止血が不十分だと、目の奥で血の塊（血腫）ができ、それが視神経を圧迫して視力を奪ってしまうのです。

吉井先生：
実は構造上、今回の「脱脂術」よりも、脂肪を移動させて固定する「裏ハムラ法」などの方が、出血した際に血の逃げ場がなくなりやすいため、リスクが高いと僕は考えていました。
脱脂術の場合、脂肪を取り出した穴が開いているので、もし出血しても「血の涙」として外に出てくる（減圧される）ことが多いんです。

山田先生：
今回の患者さんも「5分おきにティッシュで拭くほど血が出ていた」とおっしゃっていましたね。それなのになぜ内部に溜まってしまったのか……。完全な解明はされていませんが、非常に稀で恐ろしい事態であることは間違いありません。

2. 「様子を見て」は危険信号！ 命運を分ける術後の対応

吉井先生：
この事故を防ぐポイントは2つあります。一つは「ドクターの技術と判断力」、もう一つは「術後の緊急対応」です。
例えば、過去の手術等で内部が癒着している場合、難易度は格段に上がります。そこで「これ以上はやめておこう」と引く判断ができるかも、医師の腕の見せ所です。

山田先生：
無理をしない、「出る所は出て、引く所は引く」という判断ですね。
そして何より大切なのが、異変が起きた時の対応です。失明はいきなり起こるわけではなく、血が溜まって徐々に神経が圧迫されて起こります。つまり、早い段階で処置（血を抜くなど）をすれば防げた可能性が高いんです。

吉井先生：
その通りです。患者さんが激しい痛みや視界の異常を訴えた時、クリニック側が「ただの腫れですから様子を見て」とあしらってしまうのか、すぐに対応するのか。そこで運命が分かれます。

【重要】患者様へのお願い
もし術後に「異常な痛み」や「急激な視力低下」を感じ、クリニックがすぐに対応してくれないと感じたら、迷わず大学病院などの救急外来を受診してください。
目の機能に関わることは、何よりも優先すべきです。

3. 信頼できるドクター選び「2つの絶対条件」

山田先生：
今回の件を受けて、患者さんはどのような基準でドクターを選べばよいのでしょうか？

吉井先生：
SNSの症例写真の綺麗さも大切ですが、リスク管理の観点からは以下の2点が特に重要です。

• 何かあった時に相談しやすい「人柄」か
  手術が上手そうでも、高圧的で相談しにくい雰囲気だと、患者さんは異変があっても遠慮してしまい、手遅れになることがあります。カウンセリングでちゃんと会話ができ、信頼関係を築けるかが重要です。
• 医師としての「臨床経験年数」
  形成外科に限らず、医師としての臨床経験が少なくとも5年以上ある人が望ましいです。長い経験の中で「ヒヤリとする経験」や「緊急時の対応」を学んでいる医師は、リスク管理の意識が違います。

山田先生：
最近はSNSの見せ方だけが上手で、実際に行くと執刀医とほとんど話せないクリニックもありますからね。ドクターの経歴や人柄をしっかり見ることは、自分の身を守ることにつながりますね。

クマ取り治療に関するよくある質問（Q&A）

今回の事故を受けて、患者様から寄せられることの多い不安や質問に、Q&A形式でお答えします。

Q1. クマ取り手術の後、痛みや腫れはどのくらい続きますか？

A. 個人差はありますが、ピークは2〜3日です。
通常、術後の痛みは痛み止めでコントロールできる程度です。腫れや内出血は1〜2週間程度で落ち着くことがほとんどです。ただし、我慢できないほどの激痛や、視野が欠けるような症状がある場合は、直ちにクリニックへご連絡ください。

Q2. 脱脂術とハムラ法、どちらが安全ですか？

A. どちらも適切な手技であれば安全ですが、リスクの種類が異なります。
脱脂術は侵襲（体への負担）が比較的少ないですが、取りすぎによる窪みのリスクがあります。ハムラ法は脂肪を移動させるため再発リスクが低い優れた方法ですが、内部操作が複雑になるため、より高度な技術と止血管理が求められます。当院では患者様の目の状態に合わせて、リスクと効果をしっかり説明した上で最適な方法をご提案します。

Q3. 万が一、術後に異変を感じたらどうすればいいですか？

A. すぐにご連絡ください。夜間休日でも対応可能な体制を整えています。
当院では、術後に不安なことがあれば公式LINEなどで写真を送っていただいたり、緊急時はすぐに来院していただいたりする体制を整えています。「迷惑かな？」と思わず、遠慮なくご相談ください。

参考のYOUtubeはこちら

今回の対談の様子や、より詳しい解説は以下の動画でもご覧いただけます。

料金・リスク・副作用について

当院のクマ取り（経結膜脱脂）および関連手術の料金とリスク一覧です。
※価格は全て税込み・局所麻酔代込みです。
※吉井健吾医師執刀の場合、別途55,000円が加算されます。

※別途、診察料（初診2,200円、再診1,100円）、麻酔代が必要になる場合があります。